シリア政府、停戦違反でクルドSDFを非難、兵士7人死亡
政府はSDFが21日にドローン攻撃を仕掛け、兵士7人が死亡したと主張したが、SDF側は攻撃を否定し、政府軍が爆発物を不適切に扱った結果と反論した。
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シリア暫定政権は21日、クルド地域での数日にわたる戦闘後に締結された停戦協定が危機に陥っているとし、クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が停戦協定を破ったと非難した。政府はSDFが21日にドローン攻撃を仕掛け、兵士7人が死亡したと主張したが、SDF側は攻撃を否定し、政府軍が爆発物を不適切に扱った結果と反論した。
政府軍はこの攻撃を「危険なエスカレーション」と非難するとともに、SDFがこのような行動を取ったことで、停戦と統合に向けた交渉が脅かされているとの見解を示した。シャラア暫定政権はSDFに対し中央政府への統合計画に合意するよう求めており、合意しない場合にはSDFが掌握する主要都市に対する攻撃を再開する可能性も示唆している。
これに対し、SDFは声明で停戦に積極的に応じる立場を取っていると表明し、政府こそ停戦を破っていると主張した。SDFは「政府軍が複数の地点で停戦違反を行っている」と非難し、現地住民の保護を最優先するとの立場を強調した。SDFのアブディ(Mazloum Abdi)司令官はクルド地域の防衛を「レッドライン」と位置付けており、これを守る意志を繰り返し示している。
今回の緊張はシリア北東部における勢力均衡の変化を反映している。SDFはこれまで10年以上にわたり、自治的な支配を維持し、米国の支援を受けてイスラム国(ISIS)との戦いで重要な役割を果たしてきた。しかし、暫定政権は領土奪還を進め、その動きはSDFの自治支配を脅かしている。政府は1月20日、SDFに対して中央政府への統合を受け入れるよう4日間の期限を設定し、合意に至らなければ軍事行動を継続する構えを示していた。
国際情勢もこの停戦を巡って複雑化している。かつてSDFの主要支援国だった米国は、SDFを巡るシリアにおける戦略的重要性が減少したとの見方を示しながらも、拘束されている多数のISIS構成員の扱いに懸念を表明している。また、トルコはSDFをクルド労働者党(PKK)と結び付け「テロ組織」と見なしており、その撤退と武装解除を強く求めている。トルコ政府は停戦を歓迎しつつも、SDFの完全な武装解除を要求した。
停戦合意はシリア政府がSDFの支配地域を再統合し国家の統一を進める一方で、少数民族の自治要求や地域安全保障を巡る対立を浮き彫りにしている。停戦が維持されるか、再び武力衝突が激化するかは、国内政治の今後と地域の安定に大きな影響を及ぼす可能性がある。
