◎首都ストックホルムのデモ隊はクルド人武装勢力の引き渡しを求めるトルコのエルドアン大統領を非難し、コーランを焼き、エルドアン氏の写真を踏みつけた。
トルコ政府は21日、スウェーデンの抗議デモでイスラム教の聖典コーランのコピーが燃やされたことを非難し、スウェーデン国防相との協議を中止すると発表した。
政府報道官は「抗議デモの責任は開催を許可したスウェーデン政府にある」と糾弾している。
首都ストックホルムのデモ隊はクルド人武装勢力の引き渡しを求めるトルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を非難し、コーランを焼き、エルドアン氏の写真を踏みつけた。
トルコはスウェーデンとフィンランドのNATO加盟を認めておらず、両国がテロ組織に指定されているクルド労働者党(PKK)などの武装勢力を取り締まらない限り、申請書を批准することはないと示唆している。
政府報道官はスウェーデンのジョンソン(Pål Jonson)国防相との協議中止を発表。「訪問は意味をなさない」と非難した。
この訪問で両国の緊張は緩和されると期待されていた。
極右政党ハードライン(デンマーク語でStram Kurs)の指導者であるデンマーク系スウェーデン人のパルダン氏は21日、ストックホルムの在トルコ大使館前で抗議デモを行い、コーランのコピーを焼いた。
パルダンとその支持者たちは各地でコーランを燃やしたり、イスラム教徒を嘲笑したりする集会を開いている。
トルコ外務省は声明で、「再三の警告にもかかわらず、ひどい行為が行われた」と非難した。「イスラム教徒を標的にし、我々の神聖な価値を侮辱するこの反イスラム行為を表現の自由を口実に許可することは、まったくもって容認できない」
また同省はコーラン焼却について、「欧州におけるイスラム恐怖症と人種差別の一例である」とし、スウェーデン政府に「必要な措置」をとるよう求めた。
スウェーデンのビルストロム(Tobias Billstrom)外相はツイッターに声明を投稿。コーラン焼却を「ゾッとする行為」と批判した。「スウェーデンは表現の自由を保障していますが、差別や暴力を煽る行為がすべて許されるというわけはありません...」
ストックホルムでは親トルコデモも行われたと伝えられている。
ジョンソン氏はトルコ訪問が中止になったことについて、「トルコとの関係はスウェーデンにとって非常に重要であり、後日、共通の安全保障と防衛問題について協議できることを楽しみにしている」とツイートした。
ストックホルムのデモ隊は先週、エルドアン氏のマネキンを吊るし上げ、トルコ政府の怒りを煽った。スウェーデンのクリステルソン(Ulf Kristersson)首相はこのデモを「NATO加盟を妨害する行為」と呼んでいる。
パルダン氏は昨年の集会でもコーランを燃やし、暴動を引き起こした。