イエメン南部暫定評議会、サウジの撤退要請を拒否、緊張高まる
イエメンは2014年にフーシ派が首都サヌアを掌握して以来、内戦状態が続いており、数多くの死者と深刻な人道危機を生んでいる。
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イエメン南部の主要勢力である南部暫定評議会(STC)は12月26日、サウジアラビアからの要請にもかかわらず、ハドラマウト州とマフラからの撤退を拒否する姿勢を鮮明にした。STCは12月初旬に両地域を占拠、同国の長引く内戦の情勢をさらに複雑化させている。
サウジは前日、STCに対し両州から軍を撤退させ、緊張緩和に向けた措置を取るよう求める声明を発表した。サウジ外務省は、STC軍の行動が安全と安定を損なう可能性があるとして、対立する勢力間での協力と自制を促した。また、撤退は「秩序ある方法」で行われるべきだとし、関連する全勢力が共通の利益を優先することを望むと強調した。
これに対しSTCは声明を発表。両州での軍事行動は安全保障上の脅威に対処し、親イラン組織フーシ派への補給線を遮断するためのものであると説明した。またSTCは地域の安全を確保しつつ独立した南部の統治権を強化する意向を示し、「撤退要請は受け入れられない」と明言した。さらに、状況の安定化に向けた協議については、「南部イエメンの安全と統一が保証される条件であれば検討する」としたが、具体的な妥協点には言及しなかった。
ハドラマウト州では前日、STCの部隊が武装集団に急襲され、STCの戦闘員2人が死亡する事件が発生した。STCは同地域の制圧を維持しており、これに続いてサウジによる空爆が行われたとの報道もある。サウジ側は空爆についてコメントしていない。STCはこの攻撃を「驚くべきもの」と非難し、和平に向けた道筋には寄与しないとの見解を示した。
サウジは国連の承認を受けるイエメン政府を支持し、長年フーシ派に対抗するための軍事連合を主導してきた。STCの今回の行動は、同盟国間の亀裂を際立たせるものとなっている。イエメン政府側もサウジの声明を歓迎し、国家の統一と法的枠組みを超えた武装勢力の活動は「容認できない」と表明している。
一方、アラブ首長国連邦(UAE)はサウジの安全と安定に向けた努力を歓迎し、引き続きイエメンの安定化支援に取り組むと表明した。UAEはSTCを支援する立場で知られており、今回のサウジの呼びかけを両国の協調行動として評価する姿勢を示している。
イエメンは2014年にフーシ派が首都サヌアを掌握して以来、内戦状態が続いており、数多くの死者と深刻な人道危機を生んでいる。今回のSTCによる東部州の掌握とサウジの撤退要請拒否は同国の複雑な政治・軍事情勢をさらに先鋭化させる可能性がある。各方面はこの対立が地域の安定に与える影響を注視している。
