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米軍部隊の一部がシリアから撤退=報道

国防総省は先週、戦略的に重要な拠点と位置づけられていた南部のアルタンフ駐屯地を正式に閉鎖し、シリア側に引き渡したと発表した。
シリア、首都ダマスカス近郊、米軍の装甲車(Getty Images)

米国政府は18日、一部の米軍部隊がシリアからの撤収を開始したと明らかにした。ロイター通信はホワイトハウス高官の話しとして、「意図的かつ状況に応じた段階的移行」の一環だと報じている。

この高官はシリアでの軍事作戦について、「米軍は依然として地域における潜在的なイスラム国(ISIS)の脅威に対応できる態勢を維持する」と強調した。その上で「同盟国や地域のパートナーと協力してテロ組織の再興を防ぐ努力を続ける」と語った。

一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、シリアに展開する約1000人の米軍部隊すべてが最終的に撤退する方向で調整が進められているという。撤収完了の時期については、今後数ヶ月以内に全兵力が国を離れる見込みだとしている。

国防総省は先週、戦略的に重要な拠点と位置づけられていた南部のアルタンフ駐屯地を正式に閉鎖し、シリア側に引き渡したと発表した。アルタンフはヨルダンおよびイラク国境近くに位置し、ISISや他のイスラム過激派勢力の活動を監視する重要拠点となってきた。シリア政府軍が同基地を管理・運営することが、中東地域における米・シリア関係に新たな局面をもたらしているとの指摘も出ている。

今回の米軍撤収はシリア国内の治安体制が変化していることを反映した動きとの見方が広まっている。米高官はシリア政府自身がテロ対策で主導的役割を果たす意欲を示していることを撤収の理由の一つとして挙げた。米軍はアサド政権時代、クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」と連携し、ISISの再興阻止や治安維持に当たってきたが、政変と政治・軍事情勢の変化が米国の戦略見直しを促したと分析される。

ただし、米軍の全面撤退には慎重な声もある。アナリストの中には、ISISが依然として活動能力を保持しているとの評価もあり、米軍がいなくなることで地域の安全保障環境が不安定化する可能性を懸念する意見もある。また、クルド勢力とシリア政府との関係が緊張する中、米軍撤退後の治安維持の担保がどの程度可能かについて不透明感が残る。

米国の中東における軍事プレゼンスは2010年代半ばのISIS台頭を受けて拡大した経緯がある。2014年以降、米軍は国連安全保障理事会の決議や多国籍連合の枠組みの下でシリア北東部に展開し、地上部隊や空軍支援を通じて過激派掃討作戦に従事してきた。ISISは2019年に支配地域を失ったものの、小規模な攻撃やゲリラ戦術による脅威は続いていた。

今回の撤収決定は米国とシリア政府の関係改善や地域戦略の再構築を示すものである一方、中東全体の安全保障情勢に与える影響を注視する必要がある。

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