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イラン全土で抗議デモ激化、一部地域で暴動に発展、死者も

デモは25年12月28日、首都テヘランのグランドバザールで商店主らが政府の経済政策への不満を訴えたことをきっかけに始まった。
2025年12月30日/イラン、首都テヘラン中心部の商店街(ロイター通信)

イラン国内で深刻な経済状況に抗議するデモが拡大する中、複数の死者が報告されている。これは2022年の抗議以来最大規模の市民の反発とみられ、物価高騰や通貨リヤルの急落などへの不満が爆発していることを示している。

デモは25年12月28日、首都テヘランのグランドバザールで商店主らが政府の経済政策への不満を訴えたことをきっかけに始まった。その後、学生や市民も参加し、複数の都市や地方に拡大している。抗議は食料や生活必需品の価格高騰、リヤルの急落、失業率の上昇といった経済的苦境に対する不満が根底にある。

複数の報道によると、西部地域で治安部隊とデモ隊の間で激しいやり取りがあり、少なくとも数人が死亡したとされる。国営イラン通信(IRNA)は治安部隊が発砲し多くの負傷者が出たと報告している。また、中部イスファハンでもデモ隊の一人が射殺されたとの情報がある。

さらに、革命防衛隊(IRGC)に関連する民兵組織の志願兵1人が死亡、13人が負傷したと当局側が発表した。政府はデモ参加者が「抗議の雰囲気を利用して暴力行為を行った」と主張し、死傷者の一部はデモ隊側の責任であるとの見方を示している。

デモは首都だけでなく、南部や内陸部・西部の複数の州にも広がり、学生や商人らが主要なバザールを閉鎖するなど社会活動の停止が目立っている。政府は寒波を理由に多くの地域で営業を停止し、事実上「休業措置」を取っているが、抗議の拡大を抑える効果は限定的だ。

政府はこれまでの強硬姿勢に加え、対話の意向を示す場面も見られる。政府報道官は商人代表との直接対話を行う意向を表明しているが、具体的な交渉日程や要求事項については示していない。

今回の抗議は40%を超えるインフレ率とリヤルの急落が背景にあると分析されている。2025年末にかけてリヤルは対ドルで半値近くに下落し、一般市民の購買力を著しく低下させた。西側諸国の経済制裁や地域の軍事緊張、2025年中のイスラエルや米国による空爆といった外部要因もイラン経済を直撃し、国民生活の圧迫につながっている。

これまでにもイラン政府は物価高や経済政策への抗議を強硬な治安対応で抑え込んできたが、今回の抗議は規模と広がりの点で異例とみられる。デモ参加者には経済的要求のみならず、体制への不満や政治的改革要求も含まれるとの指摘もあり、国内の緊張が一段と高まっている。

当局は治安部隊を増強しながらも、デモへの対応について慎重な姿勢を見せている。国際社会も市民の安全確保と暴力のエスカレート回避を求める声を上げているが、情勢は依然として不透明である。

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