◎イランは先週、中東のライバル・サウジアラビアと外交関係を正常化することで合意した。
国営イラン通信(IRNA)は16日、政府高官がUAE(アラブ首長国連邦)を訪問し、関係正常化に向けて協議したと報じた。
イランは先週、中東のライバル・サウジアラビアと外交関係を正常化することで合意した。
IRNAによると、国家安全保障会議の代表団がUAEの大統領や高官らと会談したという。
IRNAは代表団の声明を引用し、「政治、経済、安全保障関係について協議した」と報じている。それによると、イラン中央銀行の総裁も同行したという。
UAEの通信社WAMも「両国の協力関係を強化する機会について話し合う場が設けられた」と報じた。
ペルシャ湾を支配するスンニ派の指導者たちは、1979年のイスラム革命で米国と同盟関係にあったイランの君主が倒れて以来、イラン指導部を疑いの目で見てきた。
シーア派が多数派を占めるイランは地域全体に影響力を行使し、イエメン、シリア、イラク、レバノン、パレスチナで影の戦争を演じてきた。
サウジとイランは先週、中国が仲介する交渉で外交関係を回復することに合意した。
サウジは2016年1月に首都リヤドでシーア派の著名な聖職者を死刑に処し、これに反発したイランのデモ隊が在イラン・サウジ大使館を襲撃。サウジはこれに激怒し大使館を閉鎖、外交関係を断ち切った。
両国の関係正常化はイランの支援を受けるイエメンのシーア派武装勢力「フーシ」とサウジ連合軍の戦争を終結させるという期待を高めている。
イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、この8年で少なくとも16万人が死亡。子供を含む1000万~2000万人が飢餓に直面している。
UAEはこの内戦でサウジと緊密に連携し、フーシ派を何度も空爆。また2016年にはイランの駐大使を呼び戻し、外交関係を断絶した。UAEの中心都市ドバイにはイラン人の大きなコミュニティがある。
2019年、UAE沖を航行していた石油タンカーやサウジの石油基地が攻撃を受け、イランの関与が疑われた。
イランの支援を受けるフーシ派は昨年1月、アブダビに自爆ドローンを送り、石油基地を攻撃。UAEの評判に傷をつけた。
UAEは米国が仲介した2020年のアブラハム合意でイスラエルと関係を正常化したアラブ4カ国のひとつである。イランに対する疑惑が両国を引き合わせた。
イスラエルはイランを最大の脅威とみなし、数年にわたって影の戦争を繰り広げている。
サウジとイランの関係正常化は中東で「対イラン戦線」の構築を目指すイスラエルに疑念を抱かせた。