◎フーシ派はサウジ第二の都市ジッダにある石油備蓄基地などを25日に攻撃した。
サウジアラビア主導の連合軍は26日、イエメンの首都サヌアなどにあるシーア派武装勢力フーシの施設を空爆したと明らかにした。
サウジ国営通信社(SPA)は、「連合軍はサウジアラビアの脅威の源を狙った」と報じている。
フーシ派はサウジ第二の都市ジッダにある石油備蓄基地などを25日に攻撃した。連合軍の報道官は26日、「連合軍は26日未明に爆発物を積んだフーシ派のドローン2機を迎撃した」と発表した。
連合軍によると、ドローンはイエメンの港湾都市ホデイダにあるフーシ派の民間石油施設から離陸し、ジッダの石油備蓄基地を狙ったという。
SNSにはサヌアとホデイダの市街地で炎と煙が上がる動画や写真が共有されている。
フーシ派は26日の声明で、サウジアラビアはサヌアの発電所、燃料供給所、国営の社会保険事務所を空爆したと述べた。
フーシ派が運営する衛星ニュースチャンネル「アル・マシラ」は、サヌアの社会保険事務所が崩壊し、少なくとも8人が死亡、女性や子供を含む4人が負傷したと報じている。
サヌアのフーシ派報道官はAP通信の取材に対し、「社会保険事務所のすぐ近くには人道機関が使用する建物もある」と述べ、空爆の前に人道機関の関係者がこの地域から離れるところを確認したと主張した。
サウジアラビアが主導する連合軍は2014年からイエメンの大部分を支配するフーシ派と戦っている。イエメン内戦は近代史上最悪の人道危機を引き起こし、国連のまとめによると、戦闘で死亡した兵士および民間人は15万人を超え、1,000万~2,000万人が国内避難民になり、1,100万人以上の子供が人道支援を必要としている。
SPAによると、連合軍の報道官は、「今回の空爆はサウジへの攻撃に使用されるホデイダのドローンを狙ったものだ」と説明したという。
サウジアラビアはフーシ派がホデイダの港やサヌアの空港などからドローンや巡航ミサイルを発射していると非難している。
ホデイダの港を監視する国連平和維持ミッションは空爆に懸念を示し、戦争当事者に港の治安と安全を維持し、民間インフラへの被害を避けるよう促した。
2018年の停戦協定はホデイダの港の民間利用を認めているが、サウジはフーシ派が港を攻撃の拠点として利用していると指摘している。
国連イエメン特使のグルンドベルグ氏は4月1日から始まるラマダンまでに人道的停戦を達成したいと考えているが、この空爆は交渉を複雑にする可能性がある。
湾岸協力会議は今月末にイエメン内戦の当事国会談を開催する予定である。しかしフーシ派は、湾岸協力会議の本部があるサウジの首都リヤドでの会談を拒否している。フーシ派を除くイエメンの様々な派閥は参加すると予想されている。
フーシ派は26日、イエメン内戦だけでなく、サウジへの越境攻撃を3日間停止する一時的な停戦案を発表した。フーシ派は湾岸協力会議の交渉に入る前に、連合国によるイエメンの空と海の封鎖を解除するよう要求した。
フーシ派のジッダへの攻撃はF1サウジGPの直前に行われ、サウジ当局の防衛能力に対する懸念を高めた。サウジGPの予選は予定通り行われている。
イランの支援を受けるフーシ派はサウジやUAE(アラブ首長国連邦)を含む湾岸諸国への攻撃を繰り返している。
エジプトではフーシ派の攻撃の影響でジッダ行きの便がキャンセルされ、数百人の乗客がカイロ国際空港に足止めされた。