フランス・サウジ・米国の当局者がヒズボラの武装解除計画を推進
レバノン軍の司令官が進捗状況を報告し、各国代表とともに実効的な監視・支援・検証体制の構築について意見を交わした。
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フランス、サウジアラビア、米国の政府高官は18日、レバノン軍司令官とパリで会談し、レバノンの親イラン支援組織ヒズボラの武装解除に向けたロードマップ策定に向けた協議を行った。
報道によると、この会談は2024年に成立した米国仲介の停戦協定を履行し、地域の安定化を図るための具体的な仕組みづくりを目指すものである。
会談にはフランス大統領や軍幹部、米国から中東特使ら、サウジも外務省幹部が参加した。レバノン軍の司令官が進捗状況を報告し、各国代表とともに実効的な監視・支援・検証体制の構築について意見を交わした。
会談後の共同声明では、イスラエルとヒズボラの停戦履行と武装解除プロセスの支援を確認することで合意したと発表。フランス外務省報道官は会談について「レバノン軍の武装解除努力に基づいて文書化することで合意した」と述べ、既存の停戦監視機構を強化する意向を示した。
この協議は2024年11月の停戦以降続く緊張を背景としている。イスラエルはレバノン軍がヒズボラを効果的に武装解除していないと批判し、これを理由に南レバノンやベカー高原など複数地域で空爆を継続している。
専門家はレバノン国内での政治情勢が武装解除の実行を難しくしていると指摘している。来年に議会選挙を控え、政治的な対立と停滞が続く中で、アウン(Joseph Aoun)大統領が武装解除を公然と進めることに慎重な姿勢を示しているとの見方もある。
アウン氏はヒズボラ支持層との対立を避ける必要性を強調しており、過度に武装解除を推進することへの懸念を示しているという。
また、会談では来年初頭にレバノン正規軍の支援をテーマとした国際会議を開催する計画が合意された。開催地や日程はまだ最終決定されていないものの、フランスや米国、サウジなど関係国が協力して実施する方向で調整が進んでいる。会議では正規軍や治安部隊の強化策、戦後復興支援を含む包括的な支援計画が議論される見通しである。
一方で、協議には慎重な見方も存在する。交渉の進行に対し、一部関係者からは組織化や具体的成果に欠けるとの批判も出ており、フランス主導の取り組みが実際に合意や行動につながるかどうか疑問視する声も聞かれる。各国の立場や役割分担をめぐる調整も今後の課題として残る。
ヒズボラはレバノン国内で政治勢力としても影響力を持つ組織であり、武装解除の実現は国内外で複雑な利害が絡む。今後の進展は地域の安全保障やレバノン国内の政治動向に大きく影響を及ぼすとみられている。
