サウジアラビア政府、シリアへの大規模投資計画を発表、20億ドル規模
この投資計画は総額約20億ドル規模で、エネルギー、航空、通信、不動産など幅広い分野を網羅し、サウジがシリア復興に果たす役割を拡大する狙いがある。
とシリアのシャラア暫定大統領(ロイター通信).jpg)
サウジアラビア政府は7日、シリアの暫定政権を支援するための大規模な投資パッケージを発表し、外交・経済関係の深化を明確にした。この投資計画は総額約20億ドル規模で、エネルギー、航空、通信、不動産など幅広い分野を網羅し、サウジがシリア復興に果たす役割を拡大する狙いがある。
発表によると、サウジ政府は「エラフ(Elaf)ファンド」と称する投資ファンドをシリアに設立し、アレッポの国際空港2カ所の整備計画に資金を投入する。この空港は段階的に開発され、地域の航空ネットワーク再構築に向けた重要な拠点となる見込みだ。
航空分野では、サウジの格安航空会社フライナスとシリア民間航空局が共同で新航空会社「フライナス・シリア(flynas Syria)」を設立することで合意した。新会社はシリア側が51%、フライナスが49%の株式を保有し、2026年第4四半期(10~12月)の運航開始を目指す。これによりシリアとサウジ、さらには地域間の航空輸送の活性化が期待されている。
通信インフラ整備では、サウジ最大の通信事業者STCが約8億ドルを投じ、シリア国内で総延長約4500キロの光ファイバーネットワークを構築する計画が進められている。これはシリアの国内通信インフラを強化し、地域および国際的な接続性を向上させる狙いがある。
また、サウジ企業アクワ・パワー(ACWA Power)やサウジ水道輸送公社との間では、海水淡水化プラントの建設に向けた覚書も締結された。プラントはシリア沿岸から南部地域へ淡水を供給することを想定し、飲料水問題や灌漑用水の確保など社会インフラの強化に寄与するとされる。
今回の投資発表は2025年12月に米国がシリアへの制裁を解除して以降では最大規模のものである。サウジは2024年末にアサド政権が崩壊した後、シャラア(Ahmed al-Sharaa)暫定大統領を公に支持し、今回の経済的関与はその一環とみられる。長年続いた内戦で破壊されたインフラや経済を再建する上で、制裁解除後のこうした具体的支援はシリアの再建に向けた大きな転機となる可能性がある。
一方で、一部からは今回の覚書ベースの投資案件が拘束力のある契約に結び付くかどうか懸念する声も出ている。サウジ側はファンドや民間セクターの参加を通じ、堅実な投資誘致を進める意向を強調しているが、実際の進捗と契約化の成否が今後の焦点となる。
サウジはこれまでにも2025年に総額64億ドル相当の47件の投資合意をシリアと交わし、今回の発表は両国間の経済関係が一段と深化していることを示している。こうした動きはシリア国内の復興需要に応えると同時に、中東地域におけるシリアの国際的再統合を加速する契機となる可能性がある。
