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サウジアラビア25年11月インフレ率1.9%、再び鈍化

同国のインフレ率は年央以降、おおむね2.1~2.3%の範囲で推移していたが、再び減速した形となった。
サウジアラビア、首都リヤドの夜景(Getty Images)

サウジアラビアの先月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比1.9%増となり、前月を下回った。政府が15日、明らかにした。25年10月のインフレ率は2.2%であった。同国のインフレ率は年央以降、おおむね2.1~2.3%の範囲で推移していたが、再び減速した形となった。

鈍化の背景には物価全体の上昇圧力が和らいでいることがある。住居関連費用や交通費などがインフレの主な押し上げ要因となっているが、これらの伸びが全体に与える影響は徐々に弱まっている。政府統計によると、住宅賃料は依然として高い伸びを示しており、前年比で5.4%上昇した一方、乗客輸送費も6.4%増となった。だが、全体を押し上げるほどの伸びには至らなかった。

当局は住宅市場における価格上昇圧力に対応するため、9月に不動産賃料に関する新たな規制を導入した。この規制ではリヤド都市圏内の住宅および商業用物件について、年間賃料の引き上げを5年間凍結する措置が盛り込まれており、急激な賃料上昇を抑える狙いがある。また、政府は2026年に施行を予定している不動産所有・投資法を導入しており、これにより外国人による不動産購入の容易化を図る。これらの措置は物価安定化と経済多角化を進める「ビジョン2030」計画の一環として位置づけられている。

月次ベースでは、2025年11月のインフレ率は前月比で0.1%増にとどまり、物価の上昇圧力が引き続き緩やかであることを示した。この比較的低い伸びは消費者支出の抑制や需給バランスの改善が進んでいる可能性を示している。

サウジ経済が石油からの脱却を目指す改革を進める中、インフレ抑制は政府の重要課題の一つとなっている。食料品やエネルギー価格の変動、国際的な需給環境、そして住宅市場の動向が今後の物価動向を左右する要因として注目される。特に外国人投資促進策や大規模都市開発プロジェクトの進展が消費動向や住宅需要に与える影響を巡っては、引き続き市場関係者の関心が高い。

今回発表されたインフレ率の鈍化は世界的な経済環境が不透明感を増す中でのポジティブな動きと受け止められている。ただし、1.9%は依然として緩やかな上昇を示すものであり、特に低所得層にとっては生活必需品価格の変動が家計に与える影響が無視できない状況にある。政府と統計当局は今後も消費者物価の動向を注視し、必要に応じて政策対応を進める方針である。

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