◎シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化した。
ロシアとトルコの国防省は28日、ロシア・トルコ・シリアの国防相がモスクワで会談したと発表した。
トルコとシリアの閣僚級が会談するのはシリア内戦が始まって以来初めて。
トルコ国防省によると、3カ国の情報長官も会談に出席し、「前向きな雰囲気」の中で話し合いが行われたという。
会談では「シリア危機、難民問題、シリア領内で活動するテロ組織」に焦点が当てられたようだ。
同省は今後も三者会談を継続するとした。
ロシアは長い間、トルコとシリアに和解を促してきた。
トルコはシリアのアサド(Bashar Assad)大統領と対峙する反政府勢力を支援している。
一方、アサド政権はクルド人武装勢力を撃滅しようとするトルコ軍の越境攻撃を非難してきた。
シリア北部の一部地域はトルコの支配下に置かれている。
ロシア国防省も声明で、「3閣僚はシリア危機、難民問題の解決方法、過激派グループとの戦いについて協議した」と述べている。
また同省は「3カ国は現地の状況をさらに安定させるために対話を継続することで一致した」と述べたが、会談の詳細は明らかにしなかった。
トルコ政府はイスタンブールで先月発生した爆破テロを受け、シリア北部のクルド人自治区への攻撃を開始。ロシアと米国はこれに強く反対している。
トルコ政府はこの爆破テロに反政府武装組織「クルド労働者党(PKK)」とシリア北部に拠点を置く「クルド人民防衛部隊(YPG)」が関与したと主張している。両勢力は関与を否定している。
米国はYPGをシリアにおける対イスラム国(ISIS)戦争の最重要同盟組織と位置付けている。
エルドアン氏は来年6月の総選挙を前に、シリア難民問題に対処すべきという世論の圧力に直面している。
トルコ経済はインフレの影響でさらに疲弊し、反移民感情が高まっている。
エルドアン氏は今月初め、プーチン(Vladimir Putin)露大統領にロシア・トルコ・シリアによる閣僚級会合を提案していた。
シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化した。国連によると、人口の半数以上が避難民となり、数百万人がトルコなどの近隣諸国に逃亡したという。