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ガザ地区に新たな統治機関まもなく設置、米国務長官が発表

国際安定化部隊は国連安全保障理事会が先月承認しており、複数の国が参加の意向を示している。
2024年4月30日/パレスチナ自治区、ガザ市の通り(ロイター通信)

米国のルビオ(Maro Rubio)国務長官は19日、パレスチナ・ガザ地区における新たな統治機関をまもなく設置し、その後に国際安定化部隊を展開する構想を進めていると明らかにした。

これはイスラエルとイスラム組織ハマスの間で10月に成立した停戦協定に基づくもので、停戦の維持と地域の安定化を図ることが狙いである。

ルビオ氏は記者会見で、「ガザの状態は持続可能ではない」と指摘し、イスラエルは依然としてハマスを標的に空爆を継続、一方ハマス側も停戦合意後に影響力を回復しているとの認識を示した。

またルビオ氏はこうした状況を踏まえ、まず「平和委員会(Board of Peace)」と呼ばれる国際的な統治理事会と、パレスチナ人の技術官僚による執行組織を設立する計画を進めており、その後、国際安定化部隊の展開が続くと説明した。

この新しい統治機関は第三国とパレスチナの専門家によって構成され、ガザの行政を担うことが想定されている。ルビオ氏はその人選について進展があると述べたものの、具体的な設置時期は明言しなかった。

国際安定化部隊は国連安全保障理事会が先月承認しており、複数の国が参加の意向を示している。派遣開始は来年早々になる可能性があると伝えられている。

一方で、国際安定化部隊の役割や権限、資金面など具体的な枠組みについては不透明な点が残る。特にハマスの武装解除という課題については未解決であり、参加を検討している国々からは部隊の任務範囲や財政支援の仕組みについて詳細な説明を求める声が出ている。ルビオ氏もこの点を認めつつ、参加国との協議を継続していると説明した。

またルビオ氏は治安と統治の確立が資金を集める鍵になると強調。「安定がなければ、再建に数十億ドルを投じても戦闘再開で破壊されるだけだ」と述べ、ドナー会議の開催も視野に入れていると示唆した。これにより、ガザの復興に向けた長期的な資金調達やインフラ再建計画の道筋がつくことが期待されている。

ガザでは現在も停戦ライン付近で小競り合いが続き、市民生活や医療・インフラは深刻な状況にあると報告されている。このため、国際社会は統治機関の設置と安定化部隊の展開を通じて、恒久的な平和への道筋を模索しているが、実行には多くの課題が残されている。

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