イラン抗議デモ、少なくとも25人死亡、1000人超逮捕
抗議は首都テヘランのバザール(商店街)で始まり、経済的困難への不満から次第に体制への怒りや治安当局への批判へと広がっている。
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イランでは通貨リヤルの急落やインフレの深刻化に抗議するデモが1月初旬から続いている。人権団体は6日、過去9日間の抗議で少なくとも25人が死亡したと報告した。抗議は首都テヘランのバザール(商店街)で始まり、経済的困難への不満から次第に体制への怒りや治安当局への批判へと広がっている。
クルド系人権団体ヘンガウ(Hengaw)によると、死亡した25人の中には18歳未満の未成年者4人が含まれているという。また、別の人権活動家ネットワークHRANAは少なくとも29人の死亡と1203人の逮捕を報告しており、このうち治安当局者の死亡も含まれているとしている。なお当局側は抗議者の死亡数を公表しておらず、治安部隊の死者が少なくとも2人出たと認めている。
抗議はテヘランを含む西部や南部の都市へと拡大し、31ある州のうち27州で発生しているという報告もある。参加者は当初の経済的要求にとどまらず、指導部の統治に対する不満や正義を求める声を上げており、デモの規模は2022〜23年に全国を揺るがしたクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんの死に端を発した抗議デモに比べると小規模だが、社会的な広がりを見せている。
イラン当局は経済的困難を認めつつも、外国勢力が抗議を混乱に導こうとしていると主張している。警察および治安当局は「抗議者」と「暴徒」を区別すると主張し、暴徒と見なした者に対してはその場で、または後に情報機関による身元確認の後に逮捕していると述べた。警察トップはすべての「暴徒」を取り締まるとの姿勢を示している。
政府側は対話を呼びかける一方で、経済政策の見直しも進めている。ペゼシュキアン(Masoud Pezeshkian)大統領は通貨・銀行システムの安定化と購買力の保護を目的とした改革を約束し、輸入業者に対する優遇為替レートの廃止と直接的な給付制度への移行を打ち出した。この新たな補助金制度は1月10日から実施される予定であり、中央銀行総裁の交代も既に実行された。だが、これらの措置がすぐに生活改善につながるかは不透明であり、リヤルは抗議開始以降さらに下落し続けている。
国際的な反応も強まっている。トランプ(Donald Trump)米大統領は、もし治安部隊が平和的な抗議者を殺害した場合、抗議者支援に動く可能性があると発言。最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師はこれに強く反発し「敵に屈しない」と宣言した。これに関連して、イラン指導部は外国の干渉を理由に抗議デモを「混乱工作」と断じ、厳しい対応を予告している。
こうした抗議はリヤルの歴史的な価値低下や物価高騰、生活必需品の不足といった深刻な生活苦に端を発しており、広範な地域と階層に広がる不満が背景にある。専門家は、経済改革だけでは根本的な不満を解消するには不十分で、政治体制全般への不信感が抗議を激化させる要因になっていると指摘している。
