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イラン大規模抗議、16人死亡、物価高騰や経済の悪化続く中

抗議は物価高騰や経済の悪化を背景に先週から全国に広がり、治安部隊との衝突が激化している。
2025年12月30日/イラン、首都テヘランのグランドバザール(ロイター通信)

イラン各地で続く抗議デモに伴い、複数の報道機関は4日、治安部隊の取り締まりにより、これまでに少なくとも16人が死亡したと報じた。抗議は物価高騰や経済の悪化を背景に先週から全国に広がり、治安部隊との衝突が激化している。死者数と逮捕者数については、被害を伝える報道機関と権利団体が公表する数字には差異があるものの、複数の人権団体が死者を確認している。

抗議は昨年末、首都テヘランのバザール(市場)の商人らがインフレと通貨リヤルの急落に抗議する形で始まり、大学生や地方都市の市民にも広がった。人権団体ヘンガウ(Hengaw)はこれまでに17人以上が死亡したと報告。別の団体HRANAは16人が死亡し、580人以上が逮捕されたと伝えている。逮捕者にはオンラインで抗議を呼びかけたアカウント管理者も含まれているという。

死者の多くは西部地域で報告され、テヘランや中央部、南部でも参加者と警察の対立が続いている。コム州知事は3日に2人が死亡したと発表、そのうち1人は自作の爆発物の誤爆で亡くなったと説明した。

抗議拡大の背景には、イラン国内の深刻な経済危機がある。イランではインフレ率が36%を超え、通貨リヤルの価値はドルに対して半分以下に下落した。これにより暮らし向きが悪化し、水道や電力の供給にも支障が出る地域があるなど、庶民の生活は圧迫されている。加えて国際的な制裁が再び強化されたことが経済への負担を増し、国際機関は2026年の景気後退を予測している。

当局は抗議に対し二面的な対応をとっている。指導部は経済的困難を認めつつ、対話の必要性を訴える一方で、強硬な取り締まりも継続している。最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は抗議について、「暴徒は正されるべき」と述べ、治安強化の姿勢を示した。

一方で、トランプ(Donald Trump)米大統領は抗議参加者への支持を表明し、暴力的な弾圧があれば救援する用意があるとの姿勢を示している。この発言を受けて、イラン側では米軍への報復の可能性を示唆する声も出ている。ハメネイ師も「敵に屈しない」と強調し、外部勢力の関与を非難した。

今回の抗議は2022-23年に起きた大規模デモ以来の規模で、経済的苦境と政治体制への不満が結びつきつつある。専門家は、国民の経済的な不満と政治的な要求が広範な怒りとなって表面化していると指摘しており、現地の緊張は依然として高いままである。

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