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サウジアラビア25年の死刑執行数過去最多、人権団体が非難

イギリスを拠点とする権利団体リプリー(Reprieve)の集計によると、今年これまでに少なくとも347人が死刑に処され、前年の総数(345人)を上回った。
死刑制度の廃止を求めるデモ(Getty Images)

サウジアラビアで今年実施された死刑執行数が過去最多に達し、国際的な人権団体から非難の声が上がっている。

イギリスを拠点とする権利団体リプリー(Reprieve)の集計によると、今年これまでに少なくとも347人が死刑に処され、前年の総数(345人)を上回った。

この数は同国で1年間に記録された死刑執行として最も多いとされる。リプリーはこれを「血塗られた年」と表現し、サウジ当局の死刑政策を厳しく批判している。

リプリーは死刑に処された人々の多くが薬物関連の罪で有罪判決を受けた者だと指摘している。特に麻薬をめぐる執行は国連の国際人権基準に合致しないとして、非難の焦点となっている。また、外国人も数多く含まれており、法的支援や適切な通訳・弁護の欠如など司法過程の不公正が重大な問題として挙げられているという指摘もある。

他の人権団体も死刑執行の急増が透明性の欠如した司法制度の下で進められている点を強調し、拷問や強制的な自白が裁判で証拠として扱われることが多いと批判している。こうした批判はサウジの死刑執行が単に犯罪抑止を目的とするのみならず、政府の統制手段として用いられているとの見方も併せて示されている。

サウジ政府はこれまで死刑について公式の立場を明確に説明していないが、国内法に基づき「最も重大な犯罪」に対して適用されていると主張している。同国はイスラム法(シャリア)に基づく法体系を採用しており、特定の罪状に対して死刑が法的に認められている。しかし国際人権団体は数多くの死刑が非暴力犯罪である薬物関連事件で行われている点を問題視している。

国連の人権専門家やアムネスティ・インターナショナルなどもサウジに死刑適用の見直しを求めている。これらの団体は、死刑は世界的に廃止の方向へ進んでいるにもかかわらず、サウジでは執行件数が増加傾向にあることを「国際法違反」として強く非難してきた。

世界の死刑執行データを分析する国際団体の報告によると、特に中東地域では死刑執行が高止まりしており、サウジは世界でも高い執行件数の国の一つとして位置付けられている。

国際社会からは死刑執行の透明性と司法の公正性の確保、そして死刑制度そのものの見直しを求める声が高まっている。多くの人権団体は死刑執行数の増加は人権尊重の後退を示す象徴的な出来事であり、直ちに停止すべきだと訴えている。国際的な圧力と国内外での対話が今後どのように影響するかが注目される。

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