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修理終えた駆逐艦「サハンド」、イラン海軍に再導入

サハンドはイラン建造のステルス駆逐艦として2018年12月に就役。ヘリコプター甲板・魚雷発射管・対空および対艦砲、対艦ミサイル/対地ミサイルや電子戦装備などを備えていた。
イラン海軍の艦船(Getty Images)

イラン海軍が29日、昨年7月に事故を起こした駆逐艦サハンドと、新たな浮体型前線基地艦クルディスタンを導入した。国営メディアが29日に報じた。

サハンドはイラン建造のステルス駆逐艦として2018年12月に就役。ヘリコプター甲板・魚雷発射管・対空および対艦砲、対艦ミサイル/対地ミサイルや電子戦装備などを備えていた。

しかし2024年7月6日、南部港湾施設で整備中にバランスを失って転覆・部分沈没する事故が起きた。イラン側は修復作業を行った後、地元造船所の技術者による引き揚げおよび大規模な改修を実施。これによりサハンドは「再び使用可能な状態」に戻された。

今回の再編入と同時に、海軍はクルディスタンを新たに就役させた。クルディスタンは重ヘリの運用や救助・補給・医療支援、燃料・物資の輸送、通信拠点機能などを持ち、最大で三隻の駆逐艦を搭載しつつ「3年間無寄港での世界周航任務が可能」とされる大型の前線支援艦だ。

事実上「浮かぶ港市」のような存在であり、イラン海軍による国際水域での活動能力と作戦持続力の拡大を狙ったものとされる。

国営イラン通信(IRNA)によると、式典には陸軍の司令官、海軍司令官、海軍少将らが出席。新造艦艇やミサイル装備高速艇、多目的無人機、水中無人機、沿岸および艦対地/電子戦システムなど、多数の軍事装備の公開も同時に行われた。

イラン当局はこの動きについて、「海軍の戦力および戦闘遂行能力を強化し、外国からの輸入に頼らず技術的自立を図る」と説明。また、「海域での脅威に対応し、国際水路へのアクセスを拡大する」ことを目的としているという。

サハンドの再就役は昨年の事故で大きく損なわれたイラン海軍の信頼回復を図る試みだ。そもそもサハンドは大西洋やインド洋、紅海など国際水域での展開実績があり、対海賊巡航任務や多国間訓練への参加などを通じ、イランの海洋プレゼンス拡大に貢献してきた艦艇である。

一方で、クルディスタンの導入はイラン海軍が従来の沿岸防衛中心の部隊構成から一歩踏み出し、遠洋や対外展開能力を重視する姿勢を明確に示すものだ。これにより、補給や整備支援が乏しい遠隔海域での継続的作戦遂行が可能となり、イランの戦略的海洋展開の拡大を支える重要なインフラとなる可能性がある。

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