▽イスラエルは先月8日、シリアの争乱を受け、ゴラン高原の緩衝地帯を確保した。
カタールのムハンマド(Sheikh Mohammed bin Abdulrahman bin Jassim Al Thani)首相が16日、シリアの首都ダマスカスを訪問し、暫定政権の指導者であるジャウラニ(Abu Mohammad Al-Julani、本名アフマド・シャラ)氏と会談した。
ムハンマド氏はアサド旧政権の崩壊後、イスラエル軍がシリアの緩衝地帯を占領したことを非難し、即時撤退を要求した。
イスラエルは先月8日、シリアの争乱を受け、ゴラン高原の緩衝地帯を確保したと明らかにした。
ムハンマド氏は記者会見で、「イスラエルによる緩衝地帯の占領は無謀な行為であり、即刻撤退すべきだ」と語った。
アサド(Bashar Assad)前大統領は先月初め、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。
この際、イスラエル政府は占領下のゴラン高原の安全を確保するため、緩衝地帯に部隊を展開。この地域は1974年の国連仲介による停戦の一環として、非武装地帯に指定されている。
イスラエルは緩衝地帯占領後、アサド旧政権の兵器や施設を破壊するため、シリア全土を数百回空爆した。
ジャウラニ氏は記者団に対し、「政府は国連を緩衝地帯に迎え入れる用意がある」と語った。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でゴラン高原をシリアから奪い取り、合わせてガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、東エルサレムを占領した。
ゴラン高原はイスラエルの人気観光地であり、ホテルやレストランが立ち並び、ほとんどの住民がヘブライ語を流暢に話す。住民とイスラエル当局が衝突することはほとんどない。
ゴラン高原では約3万1000人のユダヤ人入植者が数十の入植地で生活している。