ガザ大飢饉、120人餓死、パレスチナ人が世界の「無策」を非難
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は25日午後の時点で5万9676人、負傷者は14万3498人となっている。
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イスラエル軍が25日、パレスチナ・ガザ地区の北部や中部に対する攻撃を継続し、過去24時間で少なくとも38人が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。
パレスチナ人たちはイスラエルによる容赦ない封鎖で餓死者が急増する中、援助を懇願している。
保健省は25日の声明で、「過去24時間で少なくとも9人が餓死した」と明らかにした。
同省によると、23年10月に戦争が始まって以来、少なくとも122人が餓死し、その大半が今年5月以降に確認されたという。122人のうち83人が子供であった。
同省は声明の中で、「戦争の即時終結、すべての検問所の開放、乳児用粉ミルクの即時輸入、および毎日500台の援助トラックと50台の燃料トラックの立ち入りを緊急に要求する」と述べた。
また同省は「このジェノサイド(集団殺害)を主導したイスラエル当局、米政府、およびイギリス、ドイツ、フランスを含む他の国々、ならびに国際社会全体がこの歴史的な犯罪の全責任を負っている」と主張した。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、南部ハンユニスの病院で死後6カ月の乳児が栄養失調による合併症で死亡したという。
米国とイスラエルが運営するガザ人道財団(GHF)は5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、配給所とその周辺で殺害された市民は1000人を超えた。
イスラエルの国境封鎖により、食料、水、燃料、医薬品、その他物資の搬入が疎外され、餓死者が急増している。
国連を含む115の団体は今週、ガザの現状を「飢餓地獄」と評し、「壊滅的な大飢饉」が目の前に迫っていると警告した。
イスラエル政府はガザで餓死者が急増しているという国連などの警告を「偽情報」と呼び、「ハマス寄りの勢力がフェイクニュースを流してイスラエルを悪者にしようとしている」と主張している。
南部ラファでアルジャジーラの取材に応じた男性は「戦争が終わることを願っている」と語った。
また男性はフランス政府がパレスチナ国家を承認すると発表したことについて、「口ばかりで何の行動も起こさない国に承認されても意味がなく、何の役にも立たない」と嘆いた。「承認より食料と水を送ってください...」
イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉は難航しており、立場の隔たりが埋まるかは不透明な情勢だ。
トランプ(Donald Trump)米大統領は今月初めにイスラエルが60日間の停戦に向けた条件に同意したと明らかにした。
イスラエルの政府高官は双方が60日間の停戦に合意した場合、イスラエルはその期間を利用して、「ハマスが武装解除することを条件とする恒久的な停戦」を提案する用意があるとしている。
イスラエル側は5月末にトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めていた。
ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案していた。
トランプ氏はイスラエルが同意した停戦の条件を明らかにしておらず、ウィトコフ氏が示した案と同じかは不明である。
ハマスは過去の協議でも「恒久的な停戦」を求めてきた。
一方、ハマス壊滅を目指すイスラエルは「期間を定めた停戦」には応じる姿勢を示している。
ハマスの報道官はイスラエルとの停戦交渉について、「すべての人質(遺体含む)を解放し、恒久的な停戦合意を締結する用意があると繰り返し表明してきたが、イスラエルがこれを拒否している」と主張している。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、60日間の停戦が成立した場合、ハマスは10人の人質と18人の遺体を段階的に返還することになる。
イスラエルはその見返りとして、国内の刑務所に拘留しているパレスチナ人を釈放する。
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は25日午後の時点で5万9676人、負傷者は14万3498人となっている。
多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。
