◎イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は11日午後に行われた軍当局者との協議で、ガザ地区への空爆の規模と頻度を高めることに同意し、「ハマスは予想外の攻撃に直面する」と警告した。
2021年5月11日/パレスチナ、ガザ地区、イスラエル軍の空爆の様子(ロイター通信)

現地メディアによると、パレスチナのイスラム過激派組織ハマスとイスラエル軍の衝突は過熱し、ガザ地区とイスラエルで少なくとも30人が死亡したという。

ハマスのロケット攻撃を受けたイスラエルは、150の施設を空爆の標的にしたと述べた。パレスチナの保健当局によると、空爆で子供を含む28人の死亡を確認したという

国際社会は双方に聖地エルサレムをめぐる紛争を終結させるよう促した。

イスラエル人とパレスチナ人の関係は「エルサレムの日」を祝うイベントの影響で緊張していた。イスラエルの民族主義者たちは先日、東エルサレムの旧市街のイスラム教徒地域で行進を行う予定だったが、混乱を引き起こす可能性があると判断され、イベントは中止になった。

ユダヤ人は東エルサレム(旧市街と聖地の本拠地)を取り戻したエルサレムの日を記念日として祝っているが、多くのパレスチナ人はこれを挑発と見なしている。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領した。以来、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に追いやられた数百万人のパレスチナ人はみじめな生活を送っている。

ガザ地区を支配するハマスは声明で、イスラエルの侵略とテロからアル=アクサー・モスク(ユダヤ教とイスラム教の神聖な山)を守るために行動したと述べた。パレスチナ人の負傷者は数百人に達したと伝えられているが、正確な数は明らかにされていない。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は5月10日の声明でハマスのロケット攻撃を非難し、「テロリストはレッドラインを越えた」と述べた。

ネタニヤフ首相は11日午後に行われた軍当局者との協議で、ガザ地区への空爆の規模と頻度を高めることに同意し、「ハマスは予想外の攻撃に直面する」と警告した。

イスラエルの医療機関によると、南部の都市アシュケロンにハマスのロケット弾が着弾し、60代と80代の女性が死亡したという。現地メディアはイスラエルの負傷者は100人近くに達したと報じた。

ハマスは11日の声明でイスラエル南部に向けて137発のロケットを放ち、空爆が続けばより致命的な攻撃に移行すると警告した。

2021年5月11日/パレスチナ、ガザ地区、施設に身を寄せるパレスチナ人たち(AP通信/Hatem Moussa)
2021年5月11日/パレスチナ、ガザ地区(AP通信/KhalilHamra)

イスラエル軍は10日の現地時間18時以降、300発以上のロケット弾がハマスの基地から発射されたが、約90%をアイアンドームミサイル防衛システムで迎撃したと述べた。「軍は南部の国境近くに掘られたトンネルを含むガザ地区のテロ拠点を爆破し、テロリストのロケットを迎撃しました」

現地メディアによると、イスラエル軍はハマスの特別ロケット部隊の責任者であるサマ・アベド・アル・マムロウク氏を殺害したという。マムロウク氏と他の上級幹部2人はガザ地区中心部で空爆を受け死亡したと伝えられている。

イスラエルのベニー・ガンツ国防相は記者団に対し、「この空爆作戦の目的は、ハマスを激しく攻撃し、弱体化させ、イスラエルへのロケット発射を後悔させることです」と語った。「空爆地点は正確に計算されています。ハマスは今後数日間、爆撃にさらされるでしょう」

ロイター通信によると、11日深夜の空爆で13階建てのビルが破壊されたという。ビル周辺の住民は空爆の約1時間半前に地域内から避難するよう警告を受けていたと伝えられている。

パレスチナの保健省は11日、空爆で子供10人を含む少なくとも28人の死亡を確認し、150人以上が負傷したと述べた。現地メディアは59歳の女性と息子が爆発に巻き込まれ、バラバラになったと報じた。

イスラエル軍のスポークスマン、ジョナサン・コンリカス中尉は記者団に対し、「死亡したパレスチナ人のうち、少なくとも16人は過激派組織のメンバーであり、軍は民間人への被害を最小限に抑える予防措置を講じている」と主張した。「私たちはテロリストを標的にしていますが、ハマスと他のジハード組織は民間人を盾にしています」

コンリカス中尉によると、ハマスの発射したロケットの約3分の1がガザ地区内に着弾し、民間人の被害を拡大させている可能性があるという。

米アントニー・ブリンケン国務長官は、「ハマスは直ちに攻撃を停止しなければならない」と声明を発表した。

英ドミニク・ラープ外相は、民間人への攻撃とあらゆる暴力を停止するよう双方に求めた。EUも暴力を速やかに停止するよう要求し、「ハマスの民間人を狙ったロケット攻撃は完全に容認できず、状況を悪化させる」と警告した。

国連人権局は「エスカレーションを深く懸念している」と述べ、暴力につながった双方の挑発と扇動を厳しく非難した。

ロイター通信によると、国連、エジプト、カタールが戦闘の終結に向けたパレスチナ当局との交渉に参加する意向を示したという。

2021年5月11日/イスラエル南部のアシュケロン、ハマスのロケット弾を迎撃するミサイルとイスラエル兵(AP通信/Ariel Schalit)
2021年5月11日/パレスチナ、ガザ地区、イスラエル軍の空爆の様子(AP通信/Ariel Schalit)
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