◎ギルボア刑務所から脱獄したのはヨルダン川西岸地区に本拠を置く原理主義組織アル・アクサ殉教者旅団(AAMB)のザカリア・ズベイディ元司令官と、イスラム聖戦の戦闘員5人と伝えられている。
2021年9月6日/イスラエル、ギルボア刑務所の脱獄ルートを精査する当局者(Sebastian Scheiner/AP通信)

9月7日、イスラエル軍はパレスチナの過激派6人がイスラエルの刑務所から脱獄し、その後、国境沿いから焼夷弾付きの気球が複数発射されたことを受け、ガザ地区を空爆した。

当局によると、北部のギルボア刑務所から脱獄した6人の行方は分かっていないという。現地では脱獄ルートの精査が進められている。

軍は7日の声明で、「戦闘機はガザ地区南部の都市カーンユニスにあるイスラム過激派組織ハマスのロケット製造工場と軍事複合施設を空爆した」と述べた。軍当局によると、この複合施設には、地下トンネルの建設に使用されるセメント工場が含まれているという。

空爆の規模や死傷者の有無は明らかにされていない。

軍は声明の中で、「空爆はパレスチナの領土からイスラエルに向けて発射された焼夷弾気球に対応するもの」と説明した。現地メディアによると、この気球は過激派とつながりのあるパレスチナ人が囚人6人の脱獄を祝い発射したものと考えられているという。

ギルボア刑務所から脱獄したのはヨルダン川西岸地区に本拠を置く原理主義組織アル・アクサ殉教者旅団(AAMB)のザカリア・ズベイディ元司令官と、イスラム聖戦の戦闘員5人と伝えられている。

イスラム聖戦の戦闘員4人は複数の犠牲者を出した攻撃に関与した罪で終身刑、もう1人は2年の実刑判決を受けていた。

ズベイディ元司令官は2000年から2005年まで続いた第二次インティファーダでAAMBを率い、その後、他のジハード組織の指導者と共に恩赦を与えられたが、2019年に発生した複数の攻撃に関与した疑いで再逮捕された。(係争中)

6人は独房の床に穴を開け、刑務所建屋の外に通じる地下トンネルを這って進み、境界に設置されたフェンスを破り脱獄したと考えられている。当局は「恐らく外部の協力があった」と述べ、恥ずかしいセキュリティ事故の早期解決を約束した。

多くのパレスチナ人がイスラエルに拘束された6人を国に尽くした英雄と信じており、ソーシャルメディアには脱獄を祝う投稿が相次いで寄せられた。

今回の脱獄と逮捕に向けたイスラエルの努力は、パレスチナ自治政府とイスラエル政府の安全保障に影響を与える可能性がある。

パレスチナのモハマド・シュタイエ首相は7日の記者会見で、「すべてのパレスチナ人囚人は自由を望んでいる」と語った。「イスラエルは今すぐ全てのパレスチナ人を解放しなさい...」

イスラエルのナフタリ・ベネット首相はプリズンブレイクを「重大事件」と呼び、治安当局に最大限の努力を命じた。

一方、パレスチナのマフムード・アッバース大統領は難しい対応を迫られることになった。

アッバース大統領は先週、イスラエルのベニー・ガンツ国防相と数年ぶりのハイレベル会談を行ったばかりだった。アッバース大統領は記者団に対し、「和平に向けた交渉の再開を望んでいる」と語っていた。交渉は2013年に一度再開したが、あっという間に頓挫した。

多くのパレスチナ人がアッバース大統領の政策を批判しており、当局は与党ファタハ党が大敗を喫すると予想されていた今年4月の選挙を延期した。アッバース大統領は当時の声明で、「イスラエルが併合した東エルサレムでの投票が保証されるまで、選挙を延期する」と述べた。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

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