◎犯行声明を出した組織は確認されていないものの、南西部バルチスタン州の分離主義勢力「バルチスタン解放軍(BLA)」に疑惑の目が向けられている。
2024年3月26日/パキスタン、北西部カイバル・パクトゥンクワ州、自爆テロが発生した道路下の谷(Getty Images)

パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州で26日、中国人労働者を乗せたバスに爆発物を積んだ車が突っ込み、中国人5人とパキスタン人1人が死亡した。

中央政府によると、この自爆テロはアフガン国境に近いカイバル・パクトゥンクワ州の水力発電ダム建設現場近くで発生。その現場で働く労働者が標的になったという。

自爆テロ犯の車両の一部は爆発の衝撃で道路下の谷底に落下。警察が現場を封鎖し、捜査している。

犯行声明を出した組織は確認されていないものの、南西部バルチスタン州の分離主義勢力「バルチスタン解放軍(BLA)」に疑惑の目が向けられている。

治安部隊は同日、カイバル・パクトゥンクワ州の武装勢力の隠れ家を急襲し、4人を殺害したと報告。それ以上の詳細は明らかになっていない。

バルチスタン州では四半世紀ほど前から政府と分離主義勢力による紛争が続いている。BLAなどの反乱軍は州の資源を分配するよう中央政府に求めていたが、後に独立を求めて反乱を起こした。

中央政府は26日、この自爆テロを非難した。

シャリフ(Shehbaz Sharif)首相は同日、在中国大使館を訪れ、大使と会談。シャリフ氏はこのテロを糾弾し、関与した者をひとり残らず捕らえ、罰すると約束した。

首相府は声明で、「パキスタン国民の心はこの卑劣なテロで亡くなった中国国民およびその遺族と共にある」と強調した。

中国大使館もテロ攻撃を非難し、パキスタン政府に対し、犯人を厳しく罰するよう要請した。

カイバル・パクトゥンクワ州ではBLAだけでなく、TTP(パキスタンのタリバン運動)によるテロ攻撃も相次いでいる。

TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPは現在、アフガンの山岳地帯に潜伏しているとみられ、2022年11月に中央政府との停戦協定を一方的に打ち切り、軍と警察への攻撃を強化した。

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