◎暴徒たちはイスラム教の聖典コーランを侮辱したとして「冒とく罪」で逮捕・拘留された男性を警察署から誘拐し、処刑した。
2023年2月12日/パキスタン、中部パンジャブ州、暴徒の攻撃を受けた警察署(K.M. Chaudary/AP通信)

パキスタンの警察当局は13日、中部パンジャブ州のリンチ殺人に関与したとされる50人を逮捕したと発表した。

事件は市内の刑務所で11日に発生。暴徒たちはイスラム教の聖典コーランを侮辱したとして「冒とく罪」で逮捕・拘留された男性を警察署から誘拐し、処刑した。

報道によると、警察署に押し寄せた暴徒は数百人とみられる。

イスラム国家でコーランを冒涜することは死罪に当たる。パキスタンの刑法も冒とく罪の最高刑を死刑としている。

地元警察によると、処刑された男性はコーランに自分とナイフの写真を貼り付けたり、コーランを投げ捨てたりしたという。

一部の暴徒は警察署にはしごを立てかけ、窓ガラスを割って署内に侵入。その後、内側から正門を開け、仲間を招き入れたようだ。

州警察の援軍は男性を救助すべく現場に向かったが、暴徒は警察署近くで男性を撲殺し、死体に火を放った。

州警察の報道官は記者会見で、「襲撃に関与した少なくとも50人を逮捕し、捜査を進めている」と述べた。

国際的な人権団体や活動家は冒とく罪の「適用範囲」が曖昧かつ広範であることを非難している。パキスタン政府は長年、冒とく罪を見直すよう圧力を受けてきたが、これに強く抵抗している。

処刑された男性は2019年にも冒とく罪で実刑判決を受け、昨年半ばに出所したものの、先週、冒とく罪で再逮捕された。

報道によると、男性はコーランを侮辱し、それを目撃した男性とつかみ合いの喧嘩をした後、逮捕されたという。この噂は瞬く間に広まり、警察署襲撃に発展した。

州警察は男性を守れなかったとして、署長他数名を停職処分とした。

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