シリア宗派間暴力、死者1400人超、調査委員会が発表 25年3月

ラタキア県では当時、暫定政府を支持する民兵とアサド派の武装勢力による戦闘が激化。アサド前大統領を支持する勢力は軍や警察に攻撃を仕掛けた。
2025年3月8日/シリア、北西部ラタキア県、戦闘があった地区(AP通信)

シリア暫定政府の調査委員会は22日、今年3月に北西部ラタキア県とその周辺で数日間にわたって起きた宗派間暴力について、1400人以上が死亡し、その大半が民間人であったと明らかにした。

ラタキア県では当時、暫定政府を支持する民兵とアサド派の武装勢力による戦闘が激化。アサド(Bashar Assad)前大統領を支持する勢力は軍や警察に攻撃を仕掛けた。

同委員会は記者会見で、「暫定政府がアサド氏のアラウィ派コミュニティに対する攻撃を命じた証拠はない」と強調した。

暫定政府を支持する勢力はアサド派の攻撃に反発し、ラタキア県のいくつかの集落を襲撃。アラウィ派とみられる民間人を虐殺したとされる。

SNSにはアラウィ派を標的とする報復攻撃の動画がいくつも投稿された。

調査委員会は4ヶ月間の調査で殺人、強盗、拷問、住宅や店舗の略奪・放火などに関与した約300人が特定されたとしている。

また、このうち37人が逮捕されたと述べたが、身元は明らかにしなかった。

最初の暴力は3月6日に確認され、アラウィ派武装勢力と治安部隊が衝突。238人が死亡した。

国連は12万8500人以上が避難を余儀なくされたと報告している。暫定政府は3月10日に軍事作戦を終了したと発表した。

アサド氏は24年12月、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派に敗れ、ロシアに亡命。50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。

専門家はアラウィ派武装勢力が治安部隊への攻撃を強化していると指摘している。

シャラア(Ahmed al-Sharaa)大統領はアサド派勢力に武器を引き渡すよう呼びかけ、暫定政府側の勢力にも一般市民を攻撃しないよう呼びかけてきた。

ラタキア県近郊にはロシア軍のフメイミム空軍基地がある。

シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

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