原油価格上昇、米国のベネズエラタンカー拿捕で反発 25年12月
ロンドン市場のブレント先物は前日比44セント(0.73%)高の1バレル約60.91ドル、米国のWTIは40セント(0.71%)高の約56.92ドルで推移した。
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米国が週末にベネズエラ沖で制裁対象とされる石油タンカーを拿捕したことを受け、国際原油価格が21日、アジア時間の取引で上昇した。市場では米当局がさらに別のタンカーを追跡しているとの観測も広がり、地政学的リスクの高まりが価格を押し上げている。
ロンドン市場のブレント先物は前日比44セント(0.73%)高の1バレル約60.91ドル、米国のWTIは40セント(0.71%)高の約56.92ドルで推移した。週前半には約1%下落していた価格が反発する格好となった。
米沿岸警備隊はこの週末、ベネズエラ沖の国際水域で制裁対象とされるタンカーを差し押さえたと発表した。関係筋によると、これに続き別のタンカーも追跡中であり、成功すれば2週間足らずで3隻目の拿捕となる可能性がある。
トランプ政権は制裁逃れを図る「影の船団」と呼ばれる船舶群によるベネズエラ産原油の移送を阻止するため、海上での取り締まりを強化している。
米当局はこの摘発でベネズエラ政府の経済基盤を弱体化させると説明しているが、国際社会からは違法性や緊張激化への懸念が指摘されている。
ベネズエラ政府はこれらの行動を「海賊行為」などと非難し、国際法違反として強く反発している。これまでに拿捕されたタンカーの多くは中国や第三国との取引に関与していたとされ、今回の拿捕は米中間の緊張も含めた複雑な地政学的問題を背景としているとの分析もある。
国際原油市場では供給面の不透明感に加え、ウクライナ情勢や中東地域の動向なども重なり、需給センチメントが揺れている。ロシアとウクライナの和平交渉が進展しないとの見方や、ロシア産原油の供給再開に対する懸念が市場心理に影響を与えているとの指摘もある。
エネルギー市場のアナリストは米国によるカリブ海での取り締まりが今後も供給リスクとして意識される可能性を指摘する一方で、ベネズエラの輸出量自体が制裁や管理の強化で低下しているとの報告もある。これにより、短期的な価格押し上げ圧力が続くとの見通しを示す専門家もいる。
これらの流れを受け、投資家は地政学リスクを再評価しつつ、年末にかけて原油相場の動向を注視している。市場関係者は今後の米国の取り締まりの進展やベネズエラ側の対応が鍵となる見込みだとしている。
