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イランのノーベル平和賞受賞者逮捕、所在や健康状態に関する情報なし、家族が懸念表明

モハンマディ氏は30年以上にわたり女性の権利擁護や死刑制度廃止を訴え、これまでにもプロパガンダなどの名目で複数回実刑判決を受けている。
イラン、ノーベル平和賞を受賞した女性人権活動家のナルゲス・モハンマディ氏(AP通信)

イランの人権活動家で2023年にノーベル平和賞を受賞したモハンマディ(Narges Mohammadi)氏について、家族や支援者は12月12日の拘束以降、その所在と健康状態に関する公式な情報が一切ないと明らかにした。

モハンマディ氏は弁護士の追悼式典で不審死への批判を行った直後に治安部隊に拘束された。支援者らは同氏が拘束時に暴行を受けたと主張しているが、当局はコメントしていない。

モハンマディ氏の家族と弁護士は16日、記者団に対して「彼女の健康状態、拘束場所、扱われ方についてほとんど情報がなく、非常に心配している」と語った。別の兄弟が15日夜に短時間だけ連絡を取ったというが、その内容も限られている。

北東部マシュハドの検察当局はモハンマディ氏が追悼式で「規範破りのスローガン」や「秩序を乱す行為」を促したと主張している。モハンマディ氏の兄は彼女が逮捕時に頭部や顔、首を治安部隊に殴られたと述べ、少なくとも39人が同時に拘束されたと説明している。

モハンマディ氏は30年以上にわたり女性の権利擁護や死刑制度廃止を訴え、これまでにもプロパガンダなどの名目で複数回実刑判決を受けている。2023年にノーベル平和賞を受賞した時も獄中であったが、昨年末に健康上の理由で釈放されていた。

モハンマディ氏の弁護士は、当局が保留中の判決を再執行し、同氏を近く司法の場に引き出す可能性が高いと述べた。また弁護士は「表現の自由を行使した以外に何もしていない」と強調。国際刑事裁判所(ICC)への訴えを準備していると明らかにした。

家族や支援者から数多くの声明が出る一方、公式な所在や健康に関する信頼できる情報は出されていない。モハンマディ氏が重大な健康リスクを抱えている可能性を懸念する声が国際的に上がる中、人権団体やノーベル委員会もイラン政府に対して透明性のある情報の提供を求めている。

今回の件はイラン当局による人権活動家や反対派への取り締まりの一環とみられており、国内外で懸念が高まっている。モハンマディ氏が再び裁判にかけられるかどうか、健康と安全に関しては依然として不明なままである。

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