◎汚職裁判にかけられているネタニヤフ氏の劇的なカムバックがほぼ確定した。
イスラエルのラピド(Yair Lapid)首相は3日、ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)元首相率いる政党「リクード」に敗れたことを認め、ネタニヤフ氏に祝意を伝えた。
ラピド氏は声明で、「秩序ある政権移行に応じると電話で伝えた」と報告した。
選挙管理委員会はこの4年で5回目となる議会選の最終結果を公表している。それによると、リクード率いる右派連合は64議席(定数120)を獲得した。
これにより、汚職裁判にかけられているネタニヤフ氏の劇的なカムバックがほぼ確定した。
ネタニヤフ氏は収賄、詐欺、背任の罪で2019年に起訴されたが、超国家主義者を含む右派層の支持を集めたようだ。同氏は汚職を否定している。次回の審理は来週行われる予定だ。
ネタニヤフ氏は2日の勝利演説で、「我々はイスラエル市民を守る。イスラエル人全員の面倒を見る」と叫び、喝采を浴びた。
パレスチナのガザ地区に「押し込まれた」パレスチナ人はネタニヤフ氏の勝利に眉をひそめた。
ネタニヤフ氏は「治安を回復し、インフレを抑え、平和の輪を広げ、イスラエルの力を取り戻す」と約束した。
報道によると、リクードは32議席。ラピド氏の中道イェシュアティドは24議席、リクードとタッグを組む極右の超国家主義政党、宗教シオニズムは14議席、ガンツ(Benny Gantz)国防相率いる中道政党が12議席を獲得したという。
ネタニヤフ氏は連立政権のパートナー候補について言及しなかったが、宗教シオニズムが含まれると予想される。
宗教シオニズムは反アラブを推進し、パレスチナ人の国外追放やアラブ政党の非合法化を要求している。
左派と中道のイスラエル人、そして人口の5分の1を占めるアラブ人は宗教シオニズムの台頭に懸念を表明している。
宗教シオニズムの連立参加はパレスチナ、欧米諸国、アラブの同盟国との関係にも悪影響を与える可能性がある。
米ホワイトハウスは2日、「すべてのイスラエル政府関係者が市民社会、特に少数派の人々に対する寛容と尊重を含む、開かれた民主主義社会の価値観を共有し続けることを望む」と声明を発表した。
ネタニヤフ政権に参加したい宗教シオニズムの議員は国防相と公安相の座を要求している。
一方、パレスチナ保健省によると、占領下のヨルダン川西岸地区で1日、イスラエルの治安部隊がイスラム過激派組織「イスラム聖戦」の戦闘員を含むパレスチナ人3人を殺害したという。
西岸地区の入植地では13歳の少女(イスラエル人)が頭を撃たれ重傷を負ったと報告されている。地元メディアは少女が狙われたのか、流れ弾に当たったのかは不明と報じた。
イスラエル軍は2日、ガザ地区のイスラム過激派がロケット弾3発を発射したと報告した。報道によると、イスラエル南部で空襲警報が鳴ったという。ロケット弾はイスラエル領内に届かず、ガザ地区に着弾したと伝えられている。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でヨルダン川西岸などを占領し、130以上の入植地を建設した。その多くは集合住宅、ショッピングモール、工場などを備えている。