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イスラエル首相、今月末にトランプ氏と会談、ガザ和平第二段階について協議へ

ネタニヤフ氏は記者団に対し、月末にトランプ米大統領と「重要な協議」を行うと語った。
2025年9月29日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(右)とイスラエルのネタニヤフ首相(AP通信)

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は7日、メルツ(Friedrich Merz)独首相との共同記者会見で、ガザ和平計画の「第二段階」が近く実行に移される見通しであると明らかにした。

ネタニヤフ氏は記者団に対し、月末にトランプ(Donald Trump)米大統領と「重要な協議」を行うと語った。

またネタニヤフ氏は第二段階実施の是非やその条件、スケジュール、並びに国際安定化部隊の派遣可否など、未解決の重大な問題を集中的に協議すると述べた。

第二段階の内容は停戦の恒久化とイスラエル軍のガザ地区からの撤退、安定化部隊による治安の安定化、そして暫定行政体の設立と復興の開始といった根本的な変化を伴う。加えて、イスラム組織ハマスの武装解除および政治的排除が前提とされる。

ネタニヤフ氏は「ハマスの支配終了」を目標に掲げており、“ガザを武装解除し、非軍事化する”と明言している。

ネタニヤフ氏は記者会見の中で、「安定化部隊やその責任、配置地域、時期などは未定だ」と述べ、安定化のための枠組み設計にはなお大きな不透明性が残っていると強調した。

また、メルツ氏もドイツとしてガザの復興支援に応じる意志があることを示したものの、その支援を決定するには米国の立場と計画の具体性を見極める必要があると述べた。

一方、ネタニヤフはトランプ氏との会談について、ガザ問題にとどまらず、「アラブ諸国との広範な和平の可能性」やヨルダン川西岸地区の治安管理体制、さらには将来の問題なども議題に含める意向を示しており、中東全体の地政学的な再編を視野に入れた構想であると示唆した。

しかし、第一段階発動以降もガザでの戦闘は完全に止んでおらず、停戦違反や局地的な衝突が報告されている。非軍事化や国際部隊の受け入れ、多数の利害関係者の合意形成など、第二段階の実現にはなお高いハードルがある。

 

今回ネタニヤフ氏が明言したトランプ氏との月内会談と第二段階の着手は、中東での和平と安全保障の構造そのものに影響を与えうる重要な転換点となる可能性がある。

一方で、多国間協力、安全保障構成、復興計画など未決の多数の課題が残っており、合意には不透明感がつきまとう。今後の米イスラエル、そして欧州およびアラブ諸国との調整と実務の進展がこの和平計画の成否を大きく左右するだろう。

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