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湾岸諸国市場、原油安で軒並み下落 クリスマス休暇で取引減

25日の原油価格は前日比でやや低下し、2020年以来最悪の年間パフォーマンスに向かう動きとなっていることから、市場心理の重しとなった。
油田(Martin Meissner/AP通信)

中東地域の主要株式市場は12月25日、原油価格の軟調を背景に総じて下落した。クリスマス休暇に伴い取引参加者が減少し、出来高が低迷する中で売り圧力が強まったためとみられる。原油は同地域経済の中心的な役割を果たしており、原油価格の動向が株式市場の方向性に大きな影響を及ぼしている。25日の原油価格は前日比でやや低下し、2020年以来最悪の年間パフォーマンスに向かう動きとなっていることから、市場心理の重しとなった。

サウジアラビアの主要株価指数であるタダウル総合指数は前日比で0.1%下落した。サウジ・ナショナル銀行株が0.9%安、世界最大の石油会社であるサウジアラムコ株も0.3%安となり市場全体に弱気ムードが広がった。ドバイの株価指数も0.3%ほど軟化し、主要不動産開発会社のエマール・プロパティーズ株が約1.4%の下落を記録した。アブダビとカタールの株式市場もそれぞれ0.1〜0.3%の下落となった。エジプトの主要株価指数も0.6%下がり、主要銀行株などが売られた。

市場関係者は、クリスマス休暇により外国人投資家の参加が限定的になっていることが市場の低調な動きに拍車をかけていると指摘している。薄商いのなかで原油価格の下落が重荷となり、主要株式指数は方向感を欠いた展開となった。原油相場は世界的な経済成長への懸念や供給不安の低下を織り込みつつ推移しており、投資家が今後の価格動向を見極めようとしている。

原油価格の低迷は湾岸諸国の財政収支にも影響を及ぼす可能性がある。これらの国々は原油輸出に大きく依存しており、価格の下落は政府収入の減少につながる恐れがある。特に米国経済の成長見通しやベネズエラやロシアからの供給リスクの評価が投資家心理に影響を与えているが、現時点では価格が依然として弱含みで推移している。

湾岸地域の株式市場は原油価格の動向に敏感に反応する傾向があるが、今回の下落局面は年末にかけて出来高が例年よりも薄いこともあり、通常より価格変動が大きくなっている。市場アナリストは、取引参加者が年末年始を控えてポジション調整を行う中で、当面は株価が狭いレンジで推移する可能性があるとみている。また、世界的な金融政策の動向や経済指標の発表が、来年にかけて原油価格や株式市場に新たな影響を与える可能性があるとの見方も出ている。

このように、原油価格の軟調と薄商いが湾岸市場を押し下げる要因となっているが、投資家は年末の季節要因とともに、世界経済の先行きについて注視を続けている。湾岸諸国の経済は原油収入への依存度が高いため、エネルギー市場の動向が依然として市場全体のセンチメントを左右する重要な要素となっている。

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