ガザ大飢饉迫る、国連がイスラエルを非難「兵糧攻めやめろ」
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は23日午後の時点で5万9155人、負傷者は14万2880人となっている。
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国連を含む115の団体は23日、パレスチナ・ガザ地区の現状を「飢餓地獄」と評し、壊滅的な大飢饉が目の前に迫っていると警告した。
115の団体は共同声明で、「イスラエルが人為的に飢饉を引き起こし、子供を含むパレスチナ市民を餓死させている」と非難した。
また団体は「援助職員ですら食料を確保できず、イスラエル兵に射殺されることを覚悟で配給所に並んでいる」と明らかにした。
米国とイスラエルが運営するガザ人道財団(GHF)は5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、配給所とその周辺で殺害された市民は1000人を超えた。
世界保健機関(WHO)のテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は23日の記者会見で、「ガザの全人口の90%が水をほとんど入手できずにいる」と語った。
ガザは淡水化プラントで飲み水を確保しているが、燃料不足でプラントを常時動かすことができず、飲み水が不足している。
テドロス氏は「WHO職員は何があろうとガザ地区にとどまる決意を固めている」と述べ、イスラエルに対し、人道団体の職員を保護するよう求めた。
ガザの保健当局は23日、過去24時間で少なくとも10人が餓死したと明らかにした。
しかし、イスラエル首相府の報道官は23日、「ガザで飢饉は起きておらず、ハマスが食料危機が起きているという偽情報を流している」と主張した。
また報道官はハマスが停戦交渉を停滞させていると非難した。
イスラエル政府によると、GHFは23日に200万食を配布。5月下旬に配給を開始して以来、住民に配布した食料は8700万食に達したという。
報道官は「ハマスが食料を略奪し、戦力を回復させようとしている」と主張した。
ガザの保健当局によると、23年10月に戦争が始まって以来、少なくとも111人が餓死し、その大半が今年5月以降に確認されたという。
イスラエルとハマスの停戦交渉は難航しており、立場の隔たりが埋まるかは不透明な情勢だ。
トランプ(Donald Trump)米大統領は今月初めにイスラエルが60日間の停戦に向けた条件に同意したと明らかにした。
イスラエルの政府高官は双方が60日間の停戦に合意した場合、イスラエルはその期間を利用して、「ハマスが武装解除することを条件とする恒久的な停戦」を提案する用意があるとしている。
イスラエル側は5月末にトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めていた。
ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案していた。
トランプ氏はイスラエルが同意した停戦の条件を明らかにしておらず、ウィトコフ氏が示した案と同じかは不明である。
ハマスは過去の協議でも「恒久的な停戦」を求めてきた。
一方、ハマス壊滅を目指すイスラエルは「期間を定めた停戦」には応じる姿勢を示している。
ハマスの報道官はイスラエルとの停戦交渉について、「すべての人質(遺体含む)を解放し、恒久的な停戦合意を締結する用意があると繰り返し表明してきたが、イスラエルがこれを拒否している」と主張している。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、60日間の停戦が成立した場合、ハマスは10人の人質と18人の遺体を段階的に返還することになる。
イスラエルはその見返りとして、国内の刑務所に拘留しているパレスチナ人を釈放する。
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は23日午後の時点で5万9155人、負傷者は14万2880人となっている。
多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。