SHARE:

トルコ中部で小型機墜落、リビア軍参謀総長ら5人死亡

リビアは長年、内戦状態や複数の勢力による権力闘争が続いており、軍の統合と国家再建が大きな課題となっている。
アフリカ北部・リビア、首都トリポリ、陸軍の兵士(AP通信)

リビア政府は23日、同国軍の参謀総長を乗せた飛行機がトルコ中部で墜落し、搭乗者全員が死亡したと発表した。トルコ当局も声明を出し、墜落を確認した。

墜落したのは小型ビジネスジェットで、首都アンカラの空港を出発後まもなく消息を絶ったという。リビア首相府の報道官は声明で、参謀総長を含む乗員・乗客5人全員が死亡したとトルコ当局から情報を得たと声明した。

トルコのイェルリカヤ(Ali Yerlikaya)内相によると、リビア軍参謀総長を乗せたビジネスジェットは23日の現地時間17時10分にアンカラを出発し、約40分後の17時52分に通信が途絶えた。離陸後、同機はアンカラ南方付近で緊急着陸を要請したとの報告があったものの、その後通信は回復しなかったという。

追跡データによると、消息が途絶した直後にアンカラ空港では他の便が空港周辺から迂回させられるなど、混乱が生じた。現地メディアが公開した映像には、通信が途絶えたとされる付近の夜空に光の閃光が映っており、墜落の可能性を示唆している。トルコ当局は墜落地点の捜索と事故原因の調査を進めているが、公式報告はまだ出ていない。

亡くなったのは国連の承認を受ける政府の軍参謀総長で、分断状態にある軍統合や治安安定化に向け中心的な役割を担っていた。ドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)首相は23日、参謀総長の死を「国にとって大きな損失」と表現し、弔意を示した。なお、搭乗していた他の人物については、詳細な身元や役職は明らかにされていないが、軍関係者とみられている。

参謀総長たちはアンカラでトルコ政府高官らと防衛協力に関する会談を行っていた。トルコ国防省はリビア軍参謀総長の訪問を事前に発表していた。この協議はリビアの安全保障環境を改善することを目的としていた。

リビアは長年、内戦状態や複数の勢力による権力闘争が続いており、軍の統合と国家再建が大きな課題となっている。参謀総長はこうした困難な状況下で軍の調整役として期待され、その死は国内の政治・軍事両面に影響を与える可能性がある。特にリビア軍と国際社会との協力関係や国内の安定化プロセスへの影響が懸念されている。墜落事故の原因究明が進む中、リビア国内では追悼と混乱が広がりつつある。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします