◎レバノンとイスラエルは1948年のイスラエル建国以来戦争状態にあり、地中海の水域約860㎢を争ってきた。
レバノンのアウン(Michel Aoun)大統領は13日、米国が仲介したイスラエルとの海洋境界協定を受け入れると発表した。
レバノンとイスラエルは1948年のイスラエル建国以来戦争状態にあり、地中海の水域約860㎢を争ってきた。両国は2年前、この問題の協議を開始した。
この領海にはガス田があり、レバノンを統治するイスラム過激派組織「ヒズボラ」はその位置をレバノンのEEZ(排他的経済水域)内、イスラエルは公海と主張してきた。
アウン氏は協定を称賛したうえで、「イスラエルとの関係が正常化したわけではない」と強調した。「この合意はレバノンの要求に応え、レバノンの権利を維持するものです」
アウン氏はミカティ(Najib Mikati)首相および下院議長と数時間会談したのち、テレビ演説で協定を承認したと発表した。
バイデン(Joe Biden)米大統領は11日、「両国は海上紛争を正式に終わらせることに合意し、両首脳は次のステップを踏む用意がある」と語った。
イスラエルのラピド内閣は12日、この協定を「おおむね」支持した。協定書は議会に送られ、2週間の審査を経て閣議決定される予定だ。
レバノンは国境を画定することでガス田探査が可能となり、崩壊寸前の経済を立て直す機会を得られると期待している。
アウン氏はテレビ演説の中で、「この協定が原油と天然ガスの採掘を通じてレバノンが必要とする経済成長の礎を築くスタートになることを願っている」と述べた。
イスラエルはこの協定でイランの支援を受けるヒズボラとの戦争のリスクを軽減できると期待している。なお、イスラエルもこの海域でガス田探査を行っている。
協定は争われてきた水域を両国の主張を満たす形で分割するとしている。
レバノンは仏エネルギー大手トタル社と共同でガス田探査の準備を進めてきた。