◎2019年の抗議運動に関連する無所属候補反対勢力は近代史上最悪といわれる経済危機を引き起こしたヒズボラの不作為を強く非難している。
レバノンの選挙管理当局は17日、2日前に行われた国民議会選挙の結果を公表した。
それによると、イスラム過激派組織ヒズボラの派閥は過半数を失い、独立系候補が躍進した。
ヒズボラ率いる連合は128議席中61議席を獲得し、議席を10減らした。しかし、ヒズボラの影響力が弱まる可能性は低いとみられる。ヒズボラから出馬した13人は全員当選した。
それでも、ヒズボラに反対する野党や独立系グループは結果を歓迎した。
ヒズボラと対峙するキリスト教政党「レバノン軍」は21議席を獲得し、第一党となった。
レバノン軍のライバルであるアウン(Michel Aoun)大統領が創設した「自由愛国運動」は18議席にとどまった。自由愛国運動はヒズボラの同盟国である。
ヒズボラの盟友である武装勢力アマルは15議席を確保し、シーア派の後退を何とか阻止した。
2019年の抗議運動に関連する無所属候補は14議席を獲得した。
無所属候補たちはヒズボラの支持者や過激派勢力の脅迫に直面したものの、予想以上の成果を上げた。
反対勢力は近代史上最悪といわれる経済危機を引き起こしたヒズボラの不作為を強く非難している。
一部の専門家は第一党のレバノン軍と連合を率いるヒズボラが激しく対立していることから、レバノンの政治はさらに麻痺し、摩擦が拡大すると指摘している。
国連のデュジャリック(Stephane Dujarric)報道官は17日、「レバノンを復興に導くために必要な包括的政府の早期樹立」を呼びかけた。
レバノンの経済危機は加速しており、この数年で通貨は紙くずになり、目を覆いたくようなインフレに直面し、人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。しかし、政府は派閥争いに没頭し、危機に対処する取り組みを事実上放棄し、国際社会の支援に頼っている。
レバノンの市民は電気、医薬品、食料、ゴミ収集、その他の生活に必要な物資を失い、自活をよぎなくされている。
2020年8月にベイルート港で発生した大爆発の調査と復興もほとんど進んでおらず、ヒズボラを含む政治家は誰一人事故の責任を負っていない。