◎亡命希望者は約175km離れたEUのキプロスを目指している。
2022年4月23日/レバノン、北部トリポリの港近く(Getty Images/AFP通信)

レバノン政府は23日、北部の港湾都市トリポリ沖で移民約60人を乗せたボートが転覆し、子供1人が死亡、45人を救助したと発表した。

運輸相は地元テレビ局のインタビューの中で、「子供1人の遺体を回収し、45人を救助した」と述べ、10数人の捜索を続けていると説明した。

地元メディアは政府高官のコメントを引用し、「ミカティ首相は関係機関に行方不明者の捜索を継続するよう命じた」と報じている。

レバノン赤十字はトリポリに医療当局者と救急車10台を派遣したとしている。

AFP通信によると、軍は45人を救助した港周辺を封鎖したという。

港の近くに集まった移民の家族と思われる人々は警察に情報を求めたが、救助された人の氏名は今のところ公表されていない。

港の外で親族の情報を待っているという男性はAFP通信の取材に対し、「失業者が危険な旅に出るのは、経済危機を放置した政府のせいだ」と語った。

レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にあり、通貨はその価値の90%以上を失い、人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。

国連難民機関(IRO)によると、2021年1月~11月の間にレバノンの港から出国した移民は少なくとも1500人に達したという。その多くはシリア人でレバノン人は180人ほどと報告されている。

亡命希望者は約175km離れたEUのキプロスを目指している。2019年に出国した移民は270人だった。

レバノンは100万人近くのシリア難民を受け入れている。経済危機は最も脆弱な難民や低所得者層を直撃した。

前例のない経済危機の原因は、レバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラの不作為と考えられている。

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