▽レバノンはイスラエルと親イラン組織ヒズボラによる戦争の後、大打撃を受けた南部地域の再建や南部国境沿いの治安維持に奔走している。
![](https://kagonma-info.com/wp-content/uploads/2025/02/2025年1月22日/レバノン南部、イスラエル軍の空爆を受けた通り(AP通信).jpg)
レバノンのサラム(Nawaf Salam)首相が8日、2022年以来となる内閣を発足させた。
アウン(Joseph Aoun)大統領は声明で、「サラム政権の発足を認める政令に署名した」と発表した。
レバノンはイスラエルと親イラン組織ヒズボラによる戦争の後、大打撃を受けた南部地域の再建や南部国境沿いの治安維持に奔走している。
24年11月末に停戦協定が発効して以来、レバノン南部から逃れた多くの住民が町や集落に戻ろうとしている。
双方は停戦発効から60日以内にレバノン南部から部隊を撤退させ、その後、レバノン正規軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が南部を管理することで合意していた。
しかし、イスラエルはレバノン側が合意を守っていないと主張。撤退を拒否している。米政府はこの事態を受け、停戦協定の延長を仲介。2月18日まで延長することが決まった。
ヒズボラはイスラエル軍の空爆で首長のナスララ(Hassan Nasrallah)師を失うなど、ひどく弱体化している。
レバノンは経済危機にも直面しており、紙幣は紙くず同然。自国通貨は現在、「1ドル=9万レバノンポンド」前後で取引されている。
サラム氏はレバノンの司法と疲弊した経済を改革し、何十年もの間、数々の経済的、政治的、安全保障上の危機に直面してきたレバノンに安定をもたらすと誓っている。
ヒズボラはサラム氏の就任を支持しなかったが、宗派間権力分担制度に従い、イスラム教シーア派の議席をめぐってサラム氏と交渉した。
レバノンの宗派間権力分担制度ではキリスト教、シーア派、スンニ派の各派閥に主要ポストを割り当てており、シーア派はヒズボラがポストを主張している。
新政権はヒズボラに近い議員や酋長と距離を取り、ヒズボラと対立してきたサウジアラビアやその他湾岸諸諸国との関係改善を目指すとみられる。