◎サラメ氏は1993年から30年間、中銀総裁を務めた。
レバノン、首都ベイルート、中央銀行のサラメ元総裁の逮捕を求めるデモ(Getty Images)

レバノン中央銀行のサラメ(Riad Salameh)元総裁が複数の汚職事件で取り調べを受けた後、勾留された。現地メディアが3日に報じた。

サラメ氏は1993年から30年間、中銀総裁を務めた。

レバノンは2019年以来、近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。通貨は紙くずになり、市民は3桁のインフレに直面。人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。

市民は国を統治するイスラム過激派組織ヒズボラの数十年に渡る不作為が壊滅的な危機を招いたと非難している。

サラメ氏は15年にわたる内戦後の経済復興に尽力したとして広く称賛されてきたが、昨年、欧州数カ国が金融犯罪疑惑を捜査している中、雲隠れしたままポストを去った。

フランスやドイツを含む欧州数カ国はサラメ氏の資金洗浄(マネーロンダリング)疑惑に関連する捜査を行っている。

多くの市民がサラメ氏がヒズボラの言いなりになり、通貨・経済危機を防げなかったと非難している。

一方、サラメ氏は汚職、横領、資金洗浄などの疑惑を繰り返し否定してきた。サラメ氏は自分の資産について、米金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチで銀行員として働いた時代に得たものと主張している。

サラメ氏の銀行員時代の最後の年収は約200万ドル。同氏の資産数千万ドルは中銀総裁就任前の「賢明な投資」で得たものとされる。

サラメ氏は3日、ベイルートの最高検察庁に出頭し、3時間以上にわたって尋問を受けた。

現地メディアによると、治安当局はサラメ氏を安全な刑務所に移送したという。検察庁は詳細を明らかにしておらず、サラメ氏の所在も不明である。

米国、イギリス、カナダはサラメ氏とその側近を制裁リストに追加。フランスは国際逮捕状を発行したが、レバノンはサラメ氏を引き渡していない。

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