◎レバノン国民は同国を統治するイスラム過激派組織ヒズボラの政治家の汚職と不作為が危機を劇的に悪化させたと非難している。
レバノン政府は18日、機能不全に陥っている国営電力網を修復するために総額1億1600万ドルを計上すると発表した。
レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にある。この数年で通貨は紙くずになり、目を覆いたくようなインフレに直面し、人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。
さらに深刻な外貨不足で燃料の購入は滞り、停電が常態化している。国営電力会社は各家庭に1日1時間程しか電力を供給できていない。
電力会社は国の財源を枯渇させ、年間最大15億ドルもの損失を計上。負債総額は400億ドルを超えた。
2つの主要な発電所はしばしば故障し、大規模改修を必要としている。世界銀行と国際通貨基金(IMF)はレバノンのエネルギー部門の再構築を「泥沼から抜け出す第一歩」と指摘している。
ミカティ(Najib Mikati)首相は18日の閣議で燃料購入費6200万、ボロボロの発電所2つのメンテナンス費用5400万ドルを国債で賄うことに同意した。
ミカティ氏は閣議後の記者会見で、「イラク産燃料の到着が遅れているため、融資を認めなければ大変なことになっていただろう」と語った。
またミカティ氏は「電力危機を解決すればレバノンの問題の50%以上は解決できると信じている」と述べた。
国営電力会社は声明で、「中銀に預けている8000億レバノン・ポンドは通貨切り下げの影響で大きく価値を失い、危機前の5億ドル超から1600万ドルまで下落した」と述べている。
同社は中銀に対し、「預金をドルに換え、会社の運営に充てたい」と懇願した。中銀は預金の引き下ろしを制限している。
レバノン国民は同国を統治するイスラム過激派組織ヒズボラの政治家の汚職と不作為が危機を劇的に悪化させたと非難している。
アナリストはヒズボラとつながりの深い国営電力会社幹部が会社の運営に失敗し、不正を蔓延させ、赤字を垂れ流してきたと指摘している。
レバノンは昨年、シリア・ヨルダン・エジプトと世界銀行協定に調印した。この協定は、レバノンが電気料金の引き上げと、エネルギー部門改革の一環として独立した規制委員会を設置することを条件に、シリア経由でヨルダンの電力とエジプトの天然ガスを送るものである。
レバノンはまだ規制委員会を設置していないため、世界銀行は協定を発行する文書に署名していない。