シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
シリアとレバノンの国境(Getty Images/AFP通信)

レバノン当局は6日、首都ベイルートとシリアの首都ダマスカスを結ぶ主要道路を除き、シリアとの陸上国境を全て閉鎖すると発表した。

レバノン北部のシリア国境検問所はイスラエル軍の空爆で損壊し、数日前に運用を再開したばかりであった。

ヨルダン内務省も6日、シリアの治安情勢を理由に、国境検問所を閉鎖したと明らかにした。

シリアのイスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」とその同盟組織は先週、アサド政権の支配下にある北部アレッポ県に攻め込み、全土を制圧。正規軍への攻撃を本格化させた。

HTSは内戦下のシリアで活動する反政府組織のひとつ。北西部イドリブ県に本部がある。

HTSは5日、中部の要衝ハマを攻撃したと声明を発表。正規軍はハマ郊外に撤退したことを認めた。

イギリスのNGOシリア人権監視団よると、反体制派はヨルダン国境の検問所と交差点を制圧。正規軍は撤退を余儀なくされたという。

イスラエル軍は6日、占領下のゴラン高原とシリア国境付近に駐留する部隊を強化する予定と明らかにした。

同軍は声明で、「事態の推移を注視し、攻撃・防御を問わずあらゆるシナリオに備える」とした。

一方、HTSらは6日未明、第3の都市ホムスの北方に位置する2つの町に進軍したとみられる。国営シリア・アラブ通信(SANA)もホムス郊外に反体制派が進軍していると報じた。

シリア人権監視団によると、反体制派の攻撃が始まって以来、民間人を含む700~800人が死亡、数千人が避難を余儀なくされたという。

反体制派がハマを支配下におけば、南方50キロほどに位置するホムスへの攻撃が容易になる。反体制派は10年前にホムスから撤退した。

ハマの西側はアサド政権を支援するロシアや民兵の拠点が数多くあるラタキア県に接している。ラタキアにはロシアの空軍基地があり、中東と地中海におけるロシアの勢力拡大にとって重要な拠点のひとつとみなされている。

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