◎8月1日、イスラム過激派組織ヒズボラの幹部の葬儀中に銃撃事件が発生し、少なくとも2人が死亡した。
2021年8月1日/レバノン、首都ベイルートの南部に位置する沿岸の町カルデ、軍の装甲車(ビラル・フセイン/AP通信)

8月1日、レバノンの首都ベイルートの南部に位置する沿岸の町で執り行われていたイスラム過激派組織ヒズボラの幹部の葬儀中に銃撃事件が発生し、少なくとも2人が死亡した。

現地メディアによると、ヒズボラの幹部は7月31日に暗殺されたという。

死亡した2人の詳細は明らかにされていないが、当局によると襲撃者は葬儀会場にロケットランチャーを発射し、その後会葬者に発砲したという。

当局は1日の声明で、レバノン軍を沿岸の町カルデに配備したと述べた。また、「兵士は市内で武器を所持している者に発砲する」と警告し、市民に不要不急の外出を控えるよう命じた。襲撃者が捕まったかどうかは明らかにされておらず、地元メディアは「銃撃戦で兵士1人が負傷した」と報じた。

ヒズボラの幹部アリ・チェブリは、31日夜にカルデのクラブで開催された結婚披露宴中に銃撃を受け死亡したと伝えられている。地元メディアは、「容疑者はスンニ派アラブ部族の男」と報じたが、詳細は不明。

当局によると、チェブリを暗殺した男は逮捕されたという。チェブリの家族は地元メディアに、「暗殺の動機は個人的な復讐」と説明した。

一方、逮捕された男の家族の代理人は声明で、「チェブリは1年前に彼(逮捕された男)の15歳の親戚を殺害した」と非難した。またチェブリは強力なヒズボラの保護下にあったため、当局はチェブリの容疑を黙認し、取り調べすら行わなかったという。

ヒズボラの当局者はAP通信の取材に対し、「襲撃者はチェブリの遺体が自宅に運び込まれるところを待ち伏せし、会葬者に発砲した」と述べた。当局者によると、チェブリの義理の兄弟と友人が死亡し、数人が負傷したという。

レバノン軍は地域の緊張を和らげるために配備されたが、周辺住民は重武装した兵士と装甲車に困惑し、ヒズボラと反対勢力の戦争が始まるのではないかと恐れ、震え上がった。

レバノンの宗教間の対立が終息する見通しは立っていない。昨年、スンニ派アラブ部族の地域に掲げられたシーア派を嘲笑する旗は物議を醸し、論争を引き起こした。

ヒズボラの支配下に置かれているレバノン政府は2019年10月以来、現地通貨の価値を約85%も失うという前例のない金融危機(ハイパーインフレ)に直面している。

この金融危機は宗教指導者という理由だけで政府高官になった無能な役人の数十年にわたる腐敗と管理ミスに根ざしている。レバノンポンドがドルに対して記録的な下落を続ける中、指導者たちは新政府の形成を巡って9カ月以上争っている。

2021年8月1日/レバノン、首都ベイルートの南部に位置する沿岸の町カルデ(ビラル・フセイン/AP通信)
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