◎レバノン政府はイスラム過激派組織ヒズボラに支配されており、計画停電は日常茶飯事で、進行中のハイパーインフレは国民の預金を紙屑に変えた。
2021年8月11日/レバノン、首都ベイルート南部の散髪屋(Hassan Ammar/AP通信)

8月13日、レバノンの首都ベイルートの都市機能は深刻な燃料不足とそれに伴う大規模な停電の影響で麻痺し、多くの企業が閉鎖に追いやられた。

レバノンの国民は、政治家の広範囲にわたる汚職と致命的な管理ミスを「人災」と呼んでいる。レバノン政府はイスラム過激派組織ヒズボラに支配されており、計画停電は日常茶飯事で、進行中のハイパーインフレは国民の預金を紙屑に変えた。

中央銀行は先日、燃料製品に対する補助金を終了すると突然発表し、ベイルートを含む都市の状況は劇的に悪化した。補助金の終了は物価の上昇につながる可能性がある。

ミシェル・アウン大統領とハッサン・ディアブ暫定首相は中央銀行を厳しく非難し、「この決定は事前に通知されていなかった」と主張した。

ディアブ暫定首相は1年前に発生したベイルート港爆発事故の責任を取って辞任したが、ヒズボラが新首相の就任を認めなかったため、次の議会選挙まで首相職を続けることになった。

中央銀行の声明発表後、都市部のガソリンスタンドには長蛇の列ができた。ベイルートではパンが値上がりするという噂が流れ、多くの市民がパン屋に殺到した。

全国のパン屋を代表する組合のアリ・イブラヒム氏は13日、国営メディアのインタビューの中で、「ディーゼル燃料が不足しており、多くのパン屋が閉店を余儀なくされるだろう」と語った。

アウン大統領は危機について話し合う臨時国会の召集を命じたが、ディアブ暫定首相は出席を拒否したと伝えられている。

ヒズボラと政治指導者たちは新政府の発足に合意できず、経済の立て直しに向けた国際通貨基金(IMF)との協議が進む見通しは全く立っていない。世界銀行は以前、「レバノンの経済危機は世界最悪であり、1800年代半ば以来、このレベルの危機を見た者はいなかった」と述べた。

今週初め、エネルギー大臣のレイモンド・ガジャール氏は声明で、「レバノンは1日あたり約3,000MWの電力を必要としているが、電力会社は750MWしか発電できていない」と述べた。

発電施設を保有する民間電力会社は何十年にもわたって国営電力会社の供給不足を補ってきた。しかし、致命的な燃料不足と物価の高騰は民間電力会社の体力を削り、供給不足を埋める企業はいなくなった。

悪名高い腐敗しきった国営電力会社は現在、1日約2時間国民に電力を供給している。

首都ベイルートにあるレバノン最大のシティモールも閉鎖を余儀なくされた。また、一部の病院はディーゼル燃料が切れた時点で閉鎖すると警告した。

2020年8月5日/レバノン、首都ベイルートの港(AP通信/Hussein Malla)
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