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レバノン軍、南部地域を掌握したと発表、ヒズボラ武装解除計画進む

レバノン軍は声明で、リタニ川以南の地域についてはイスラエル軍が占領している地域を除き、作戦上の統制権を拡大したと明らかにした。
2024年10月4日/レバノン南部、イスラエル軍の空爆によるクレーター(AP通信)

レバノン軍は8日、同国南部で国家による武装の「独占」を達成したと発表した。これは、2024年のイスラエルとの停戦協定に基づき、国軍以外の武装勢力を排除するという重要な目標の一段階を完了したことを意味するものである。停戦協定では、国家以外の武装集団(ヒズボラなど)の武装放棄が条件とされていた。

レバノン軍は声明で、リタニ川以南の地域についてはイスラエル軍が占領している地域を除き、作戦上の統制権を拡大したと明らかにした。ただし、地雷や未爆発弾薬、地下トンネルの除去など課題は残っており、完全な武装独占の確立にはさらなる作業が必要だと説明した。声明には特定の武装組織名は記されていないものの、これまで南部で勢力を維持してきたヒズボラへの圧力の一環と受け止められている。

レバノン政府と軍は、昨年8月に国家主導で全土の武装勢力を解体し、武器の統制を国家に集中させる計画を承認した。この「祖国の盾(Homeland Shield)」計画は、最初の段階として南部に集中し、今後はリタニ川以北の地域にも拡大する予定だ。計画は段階的に進められ、政府は次のフェーズとして、ヒズボラの活動拠点と見なされている地域での武装解除を視野に入れている。

しかし、イスラエル側はレバノン軍の発表に対し歓迎の意を示しつつも不十分だとの見解を示している。イスラエル首相府は声明で、米国が仲介した停戦協定にはヒズボラの完全な武装解除が明記されていると指摘し、今回の進展は「励みになるが十分ではない」と述べた。イスラエルはヒズボラがイランの支援を受けて再武装や軍事インフラの再建を進めていると警戒感を強めており、さらなる武装解除を求めている。

一方でヒズボラはこれまで、武装解除に対して慎重な姿勢を崩していない。組織は声明を出していないものの、停戦条件の完全履行としてイスラエル軍の撤退と攻撃停止を要求し、その条件が整わない限り武装解除に応じない意向を示している。停戦合意後もヒズボラとイスラエルの間では断続的な衝突や相互の違反の申し立てが続いており、地域の緊張は依然として高いままである。

国際社会はレバノン政府の取り組みを注視している。米国やフランス、国連関係者は武装解除と南部の安定化を支持する一方で、交渉の長期化や地域秩序の不確実性を懸念している。レバノン国内では武装解除計画を巡り政党間でも意見が分かれており、特にヒズボラとその支持勢力を含む政党は国家主導の一方的な武装解除を警戒している。

総じて、レバノン軍の発表は国家の主権強化に向けた重要な一歩と評価される一方、完全な武装解除と安定した停戦の実現には依然として多くの課題が残されている。今後、リタニ川以北での計画推進とともに、周辺国との緊張緩和が進むかどうかが注目される。

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