◎レバノン北部は西欧への亡命を希望する移民の出発点のひとつであり、この数年で何万人ものレバノン人、シリア人、パレスチナ人がイタリアやギリシャを目指して出港した。
レバノン北部の海岸沖で移民27人が救助された。レバノン軍が23日、明らかにした。
それによると、沿岸警備当局は23日未明、沖合で沈没したとみられるボートに乗っていた27人を救助し、施設に収容したという。
レバノン軍は27人の国籍を明らかにしていない。
レバノン北部は西欧への亡命を希望する移民の出発点のひとつであり、この数年で何万人ものレバノン人、シリア人、パレスチナ人がイタリアやギリシャを目指して出港した。
レバノンでは2019年10月の経済破綻以来、移民の数が急増している。
国連によると、レバノンで登録されたシリア難民は約80万人。実際の数は150万~200万人程度と見積もられている。
さらに、レバノンでは数万人のパレスチナ難民とその子孫が生活しており、国内に12のパレスチナ難民キャンプを抱えている。
シリア内戦の紛争地から逃れた多くのシリア人が今もレバノンに向け移動している。
国連によると、この数カ月でレバノンに入ったシリア難民は1万人近くに達したという。
レバノン政府はシリア難民の流入が同国の人口構造に不均衡をもたらし、仕事を失ったレバノン人が国外に流出していると警告している。
レバノン軍は先月、北部から地中海を渡って欧州に向かう準備をしていた移民船を拿捕し、人身売買組織の構成員とみられる数十人を拘束した。
昨年9月にはレバノンを出港した移民船がシリア沿岸で転覆。94人が死亡している。
シリアでは23日、海軍のパトロール隊が北西部ラタキア県沖で移民船を拿捕したと伝えられている。詳細は明らかにされていないが、国営シリア・アラブ通信(SANA)によると、数十人が乗船していたという。