◎市民は国を統治するイスラム過激派組織ヒズボラの数十年に渡る「不作為」が壊滅的な危機を招いたと非難している。
資金繰りに苦しむレバノンの通過レバノン・ポンド(LP)が19日、最安値を更新し、「1ドル=50000LP」で取引を終えた。
レバノンの通過はかつて1ドル=1500LPほどで取引されていたが、2019年後半に暴落し、坂を転げ落ちた。
レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にあり、通貨は紙くずになり、目を覆いたくようなインフレに直面し、人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。
市民は国を統治するイスラム過激派組織ヒズボラの数十年に渡る「不作為」が壊滅的な危機を招いたと非難している。
フランス、ドイツ、ルクセンブルグの司法代表団は今週、ベイルートを訪れ、中央銀行のサラメ(Riad Salameh)元総裁の資金洗浄(マネーロンダリング)疑惑に関連する取り調べを行った。スイスとリヒテンシュタインも疑惑を捜査している。
一方、首都ベイルートの連邦議会は昨年10月末に任期を終えたアウン(Michel Aoun)大統領の後任を選出できずにいる。
報道によると、国会議員128人のうち18人が19日の大統領選出投票を欠席したという。多くの議員がヒズボラを批判する候補か白紙を投じ、11回目の投票もお流れとなった。
その後、一握りの改革派議員が議事堂内で座り込みを始め、議長が新大統領選出のための公開討論会を開くまで座り込みを続けると宣言した。
警備員はドアを施錠し、照明を切ったが、座り込みは続いているようだ。
政府は国際通貨基金(IMF)との交渉で汚職撲滅と政治改革を約束したが、改革は遅々として進まず、完全に滞っているようにみえる。
あるアナリストはツイッターに「政府はIMFと約束したが、何もしていない」と投稿している。「普通の国なら約束した次の日に取り組みを開始しますが、彼らは何もしていません...」
政府は昨年4月、経済改革と汚職防止策を条件に、IMFと融資計画で暫定合意した。IMFは約束が履行されていないとレバノンを批判している。
一方、資金繰りに苦しむレバノンの銀行は2019年10月以降、預金の引き出しを制限している。一部の預金者は昨年、銀行を襲撃し、預金を力づくで引き出そうとした。