クウェート、住宅不足解消に向け3都市建設の入札を開始
総面積300ヘクタール以上に及ぶ新都市開発計画はクウェートの住宅分野を民間投資に開放する新たな不動産開発法の下で初めて実施されるプロジェクトである。
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クウェート政府は14日、住宅不足対策の一環として、3つの新都市開発計画の契約入札の第一段階を開始し、国内外の企業に入札への参加を呼びかけた。
総面積300ヘクタール以上に及ぶ新都市開発計画はクウェートの住宅分野を民間投資に開放する新たな不動産開発法の下で初めて実施されるプロジェクトである。
石油資源豊富なクウェートでは住宅不足が社会問題になっており、現在10万人余りが政府の住宅待機リストに登録されている。待機期間は数年にも及ぶケースもある。
政府が官報で発表したところによると、このプロジェクトは2023年制定の法律に基づき実施される。同法は政府が国内外の民間パートナーと合弁会社を設立し、クウェート国民向けに新築住宅を建設・販売するとしている。
契約期間は30年、うち4年間は建設期間で、設計、資金調達、建設、運営、維持管理、住宅ユニットの販売をカバーし、非住宅資産は政府に返還される。
クウェートの住宅事情は、その独特の経済構造と社会制度、さらに人口構成の特徴によって大きく規定されている。まず、国民と外国人労働者の間に明確な差があることが特徴的だ。クウェート国民は国の石油収入を背景に手厚い福祉を受けており、政府は住宅提供を重要な政策の一つとして位置付けている。国民は結婚後に国から土地や住宅ローンの支援を受けることが多く、比較的広い一戸建てを所有するのが一般的だ。こうした住宅は郊外に整備されることが多く、ゆとりのある生活空間が保障されている。
一方で、人口の約7割を占める外国人労働者は、まったく異なる住宅環境に置かれている。彼らは基本的に国の住宅支援を受けられず、賃貸市場に依存している。外国人向けの住宅は都市部に集中しており、高額なアパートから劣悪な労働者用宿舎まで格差が大きい。特に低賃金労働者は複数人で部屋をシェアする狭い宿舎に住むことが一般的で、過密居住や衛生面の問題がしばしば国際的に批判されてきた。
また、土地不足も住宅事情に影響を与えている。クウェートは国土が限られており、政府が国民に提供する住宅用地も申請から実際に入居できるまで長い待機期間が発生することがある。これにより、特に若い世代の国民の間で住宅確保が課題となっている。一方で富裕層や上位中間層は、都市中心部の高級マンションや外国人向け住宅地に住み、生活水準の格差が鮮明に現れている。
加えて、クウェートは非常に高温の気候条件を持つため、住宅の設計にも特徴がある。断熱や冷房設備は必須であり、電力消費の大部分が冷房に費やされる。そのため、住宅インフラはエネルギー需要と密接に結び付いている。
総じて、クウェートの住宅事情は「国民には厚遇、外国人には制限」という構図に集約される。石油収入を背景とした手厚い住宅政策が国民生活を支える一方で、外国人労働者の居住環境は不安定かつ不十分であり、この二層構造が今後の社会的課題となっている。