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シリア・アレッポでクルド戦闘員の一部が撤退、衝突続く

国軍は数日間にわたる激しい戦闘の後、市中心部での「掃討作戦」を完了したと報告。クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が保持していた地域の制圧を進めていると述べた。
2026年1月10日/シリア、北部アレッポ県、治安部隊(ロイター通信)

シリア北部アレッポで国軍とクルド勢力との衝突が続く中、治安当局は10日、一部のクルド戦闘員が同市から退去したと発表した。ただし、依然として複数の地区に抵抗を続ける勢力が残っているという。

国軍は数日間にわたる激しい戦闘の後、市中心部での「掃討作戦」を完了したと報告。クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が保持していた地域の制圧を進めていると述べた。これは、今週初めに暫定政権が一方的に宣言した停戦が実効性を欠き、武力衝突が再燃したことを受けた動きだという。

ロイター通信は治安筋の話しとして、「数十人のクルド戦闘員がアレッポを離れた」と報じた。また、掃討が必要な抵抗勢力が市内に残っているとのこと。

現地では多くの市民が徒歩での避難を余儀なくされている。国軍は人々をバスに乗せ、避難所へ移送しているとされる。これまでの衝突で14万人以上が避難を余儀なくされたとの報道もある。

治安当局によると、退去した戦闘員の中にはSDFのリーダー格とみられる人物も含まれるという。しかし、クルド側はこれを否定し、退去したのは戦闘員ではなく民間人だと反論している。

ロイターは複数の治安筋の話しを引用し、「一部のクルド戦闘員やその家族が夜間に秘密裏にアレッポから北東部に移った」と伝えているが、詳細は不明である。別のクルド系勢力はこの事実を認めたが、公式な完全撤退の発表は行われていない。

一方、SDFは依然として市内の病院を含む複数の施設に立てこもりながら国軍と市街戦を展開していると伝えられている。SDFは国軍が民間インフラを無差別に爆撃していると非難し、特に病院が攻撃対象となっていると主張した。これに対し、国軍は無差別攻撃を否定するとともに、SDFが市役所にドローン攻撃を仕掛けたと反発している。

この衝突はクルド勢力がアレッポなど一部地域で保持してきた影響力に対する政府側の排除の動きを象徴するものとなっている。クルド勢力は北東部において一定の自治を維持し、これまで国軍への統合など政治的解決を巡る交渉を断続的に続けてきたが、合意の実行は遅延し、緊張が解消されないまま暴力が再燃している。

衝突により、アレッポ国際空港やトルコへの主要道路など重要なインフラが閉鎖され、地域の経済や市民生活にも深刻な影響が及んでいる。米国は関係各国と連携し、対立の沈静化と対話再開を求めているが、不安定な情勢が続いている。

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