◎エルサレムでキリスト教徒への嫌がらせを毎日目撃してきた活動家たちは、ネタニヤフ政権が唾吐き事件を糾弾したことに驚いた。
聖地エルサレムで超正統派ユダヤ教徒がキリスト教の巡礼者に唾を吐きかける動画がSNSで拡散し、怒りと非難の嵐を巻き起こしている。
イスラエル政府は3日、外国人のキリスト教巡礼者の足元に唾を吐きかけた男たちを「恥さらし」「大バカ者」「バカの中のバカ」と呼び、激しく非難した。
イスラエルのキリスト教コミュニティはこの唾吐き事件を「宗教的動機に基づく弾圧のひとつ」と嘆き、中央政府に行動を起こすよう呼びかけていた。
反イスラムを公約に掲げる敬虔なユダヤ教徒のネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相も珍しく怒りをあらわにした。
イスラエルの歴史上最も保守的な政権が昨年末に誕生して以来、バチカンが任命した総主教を含む、2000年の歴史を持つイスラエルのキリスト教コミュニティに対する嫌がらせが増加していることへの懸念が高まっている。
反アラブ・反パレスチナを推進する超国家主義政党「ユダヤの家」のベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)治安相も珍しくこの唾吐き事件を非難した。
イスラエルの人権団体はベン・グヴィル氏を含む超国家主義者がユダヤ人過激派を増長させ、免罪符を与えいると非難している。
地元紙タイムズ・オブ・イスラエルは首都テルアビブで活動するキリスト教専門家の話しとして、「右翼政府が宗教ナショナリズムを引き起こしたことは明らかであり、多くのキリスト教徒が暴力や嫌がらせに直面している」と伝えている。
エルサレムでキリスト教徒への嫌がらせを毎日目撃してきた活動家たちは、ネタニヤフ政権が唾吐き事件を糾弾したことに驚いた。
AP通信の取材に応じた女性は「ユダヤの過激派は唾だけでなく、石を投げつけてきたり、教会の看板を破壊したりしている」と語った。
また女性は「治安部隊はキリスト教コミュニティに対する攻撃や嫌がらせを黙認している」と強調した。
ネタニヤフ氏は3日の声明で、「イスラエルは全ての宗教の権利を保障しており、弾圧や嫌がらせを含むあらゆる形態の暴力を非難する」と語った。