◎東エルサレムは1948年の第一次中東戦争後にヨルダンの管理下に置かれたものの、1968年以降は東西ともイスラエルが事実上支配している。
東エルサレムの聖地アルアクサ・モスクで4日から5日にかけてイスラエル警察とパレスチナ人が衝突し、数十人が負傷、350人以上が逮捕された。
イスラエル警察が公開した映像にはアルアクサ・モスク内に立てこもったイスラム教徒に機動隊が突撃するところが映っていた。
イスラエル警察は5日、「犯罪者たちが痛いやり方でモスクを占拠した」と非難。「覆面をした、法を犯す若者たちを排除するためにモスクに入らざるを得なかった」と主張した。
また警察は、「犯罪者たちはモスク内の秩序を乱し、冒涜した」と非難した。
AP通信によると、機動隊は暴徒にゴム弾やスタングレネードを撃ち込み、礼拝者たちは打ち上げ花火で応戦したという。当局は機動隊員を含む少なくとも12人が負傷し、350人以上を逮捕したと発表した。
イスラエル政府は声明で、「フーリガンはアルアクサ・モスクに祈りを捧げに来たイスラム教徒に害を与える存在である」と非難した。
警察がSNSに投稿した動画には、手をジッパーで縛られモスクから連行されるパレスチナ人の姿が映っていた。
パレスチナ自治政府は声明で、「我々はアルアクサ・モスクを占領した者たちに聖地のレッドラインを越えてはならないと何度も警告している」と述べた。
乱闘が始まってから数時間後、イスラエル警察は東エルサレム全体で取り締まりを強行。ガザ地区のパレスチナ人武装勢力がこれに反発し、イスラエル領に向けてロケット弾少なくとも9発を発射した。
イスラエル国防軍によると、ロケット弾9発のうち5発を撃墜し、残り4発は開けた場所に着弾したという。ケガ人はいなかった。
同軍はロケット攻撃に対応して、ガザ地区を実行支配するイスラム過激派組織ハマスの武器製造・貯蔵施設を空爆したとしている。
一方、ヨルダン外務省は5日、アルアクサ・モスク内で衝突が発生したことに怒りを表明。イスラエル警察を糾弾した。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原、アルアクサ・モスクを含む東エルサレムを占領した。
イスラエルは東側の旧市街を含むエルサレム全体を首都とみなしているが、国際社会はこれを認めていない。
東エルサレムは1948年の第一次中東戦争後にヨルダンの管理下に置かれたものの、1968年以降は東西ともイスラエルが事実上支配している。