イスラエル軍、イラン・ナタンツのウラン濃縮施設を直接攻撃=IAEA

IEAEは当初、ウラン濃縮施設が直接攻撃を受けた兆候はみられないと述べていたが、評価を修正した。
2019年11月5日/イラン中央部、ナタンツ核施設内のウラン遠心分離機(AP通信/イランの原子力機関)

国際原子力機関(IAEA)は17日、イスラエル軍がイランのナタンツ核施設の地下深くにあるウラン濃縮施設を直接攻撃したと明らかにした。

IEAEは当初、ウラン濃縮施設が直接攻撃を受けた兆候はみられないと述べていたが、評価を修正した。

イスラエル軍は12日夜、イランの核施設と軍事施設に対する攻撃を開始。戦闘機で100か所以上を攻撃した。

イランはこれに報復。テルアビブやエルサレムなどに約100発のミサイルを発射した。

イスラエル軍は先制攻撃に踏み切った理由について、▽イランが核兵器保有を推進していること▽数千発の弾道ミサイルを保持していること▽中東各地の代理勢力への武器と資金の提供を挙げ、これらの脅威を取り除くことと説明している。

イランは国軍のバゲリ(Mohammad Bagheri)参謀総長や革命防衛隊(IRGC)のサラミ(Hossein Salami)司令官ら複数の高官ほか、元原子力庁長官や著名な核科学者6人が死亡したことを確認している。

IAEAは12日に紛争が始まって以来、核施設の被害評価を更新してきたが、検査は実施できていない。

IAEAは以前、ナタンツの地上にある施設が破壊されたと報告。地下深くにある濃縮施設が直接攻撃を受けた兆候はみられないとしていた。

グロッシ(Rafael Mariano Grossi)事務局長は16日の記者会見で、「ナタンツの電源が攻撃を受けたことにより、遠心分離機が深刻な損傷を受けた可能性が高い」と述べていた。

しかし、IAEAは17日、X(旧ツイッター)への投稿で、「12日の攻撃後に収集した衛星画像の継続的な分析に基づき、IAEAはナタンツの地下濃縮施設が直接攻撃を受けたという結論に達した」と述べた。

またIAEAはフォルドゥとイスファハンの核施設に対する評価は変わらないとした。

イラン当局はナタンツの被害の程度や、どの部分が攻撃を受けたかは明らかにしていない。

同施設の地下には広大なウラン濃縮プラントがある。一部の専門家は米国製の地中貫通型爆弾(バンカーバスター)が使われた可能性があると指摘しているが詳細は不明だ。

イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有している。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

これは兵器級に迫る水準だが、ナタンツの生産量は軍事専門家が破壊困難と指摘する山中に造られたフォルドゥ核施設より少ない。

IAEAによると、米軍の兵器がなければ到達不可能と指摘されているフォルドゥでは、被害はほとんど、あるいは全く確認されていないという。

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