◎イスラエルとサウジは正式な外交関係を結んでいないが、宿敵イランへの対応を通じて関係を構築してきた。
イスラエルのラピド(Yair Lapid)首相は10日、バイデン(Joe Biden)米大統領の中東歴訪に先立ち、サウジアラビアとの外交関係樹立に期待を表明した。
イスラエルとサウジは正式な外交関係を結んでいないが、宿敵イランへの対応を通じて関係を構築してきた。
サウジはイスラエルとの外交関係樹立を検討している数少ないアラブ諸国のひとつと広く信じられている。
ラピド氏は閣議後の声明で、「イスラエルは地域のすべての国に手を差し伸べ、関係を構築し、この地域の子供たちのために歴史を変えるよう常に呼びかけている」と述べた。
またラピド氏は「バイデン氏はイスラエルの平和と希望のメッセージをサウジに届けるだろう」とした。
イスラエルとアラブ諸国の関係は、米国が仲介した2020年の「アブラハム合意(Abraham Accords)」による4カ国との関係正常化以来、拡大している。
バイデン氏は13日にイスラエルを訪問し、その後、占領下のヨルダン川西岸地区でパレスチナ自治政府の議長らと会談。終了後、サウジに飛ぶ予定。
バイデン氏はワシントン・ポスト紙に寄稿した文書の中で、イスラエルとサウジをより緊密にすることを目指すとした。
「私はイスラエルからサウジを訪問する初めての合衆国大統領になります。今回の旅はイスラエルとアラブ諸国間の関係の芽生えと、正常化に向けたステップのシンボルになるでしょう...」
サウジはイスラエルとの関係を深めることに消極的だった。
サウジ国王は占領下のヨルダン川西岸地区、ガザ地区、東エルサレムに独立国家を建設するというパレスチナ人の願いを長年にわたって支持してきた。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争で3つの地域をすべて占領したが、2005年にガザ地区から軍とユダヤ人入植者を撤退させている。
イスラエル政府はパレスチナ自治政府に紛争を解決する条件として、イスラエルと完全な外交関係を結ぶよう要求している。両国はこの問題に関する交渉を10年以上行っていない。
イスラエルとサウジの関係には変化の兆しが見られる。
サウジはイスラエルとアラブ諸国を結ぶフライトの領空通過を許可した。
2020年には当時のネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相がサウジを訪問し、サルマン(Crown Prince Mohammed bin Salman)皇太子と会談したと伝えられており、先週にもイスラエルの防衛担当数人がサウジを訪れたとされている。