イスラエル軍、イエメンから発射されたドローン迎撃、被害の情報なし
イスラエルとフーシ派の対立が激化している背景には、中東全体の地政学的な緊張とイランの影響力拡大がある。
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イスラエル軍は8日、イエメン領内内から発射されたドローンを迎撃したと明らかにした。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派は前日、イスラエル南部エイラートに向けてドローンを発射。ラモン国際空港被害が確認されたばかりであった。
イスラエル軍は8日遅くの声明で、「イエメン領内から飛来したドローンを迎撃した」と報告。死傷者や建物被害の情報はない。
イスラエルメディアによると、エイラートを含む一部地域で空襲警報が鳴ったという。
7日のドローン攻撃では少なくとも1機がラモン国際空港の旅客ターミナルに命中。AP通信は空港当局者の話しとして、「ドローンの破片により1人が負傷した」と伝えていた。
空港はこの影響で運航を一時停止したが、その後再開した。
フーシ派は8日の声明で、ラモン国際空港を含む複数地域を3機のドローンで攻撃したと主張した。
イスラエルとフーシ派の対立が激化している背景には、中東全体の地政学的な緊張とイランの影響力拡大がある。
フーシ派はイエメン北部を拠点とし、イランから軍事・政治的支援を受けるシーア派系の勢力であり、サウジアラビアや米国と対立してきた。
23年10月以降のガザ紛争が引き金となり、フーシ派は「パレスチナとの連帯」を掲げてイスラエルへの攻撃を宣言し、紅海やアデン湾で商船やイスラエル関連の標的を狙ったドローン・ミサイル攻撃を行った。
フーシ派の行動には、単なるパレスチナ支援を超えた狙いがある。一つは、イランが展開する「抵抗の枢軸」の一環として、地域全体でイスラエルやその同盟国に圧力を加えることだ。
もう一つは、イエメン内戦で国際的に孤立しがちなフーシ派が、反イスラエル闘争を通じてアラブ世論の支持を得る狙いである。
特に紅海は世界の主要な海上交通路であり、フーシ派の攻撃は国際貿易やエネルギー供給にも影響を与えるため、対立は地域紛争の枠を超えて世界経済にも波及している。
一方イスラエルにとって、ガザ以外からの攻撃は戦線の拡大を意味し、安全保障上の大きな脅威となる。
そのためイスラエルはフーシ派の拠点を標的とした空爆や防衛強化を進めている。こうして、イランを後ろ盾とするフーシ派とイスラエルとの対立は、ガザ紛争を契機に中東全域に広がる代理戦争の一環として激化している。