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イスラエル軍、ガザ市の40%掌握、数日以内に作戦拡大へ

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は4日午後の時点で7万9173人(行方不明者含む)、負傷者は16万1500人となっている。
2025年9月3日/イスラエルとガザ地区の境界近く、イスラエル軍の戦車部隊(ロイター通信)

イスラエル国防軍(IDF)は4日、パレスチナ・ガザ地区北部ガザ市の40%を掌握したと発表した。

ガザの保健当局によると、過去24時間のイスラエル軍の空爆や砲撃により、少なくとも53人が死亡、数百人が負傷したという。その大半がガザ市内で確認された。

IDFの地上部隊はガザ市の郊外から進軍を続け、現在、中心部から数キロの地点まで迫っている。

IDFの報道官は記者会見で、「我々はハマスのインフラを破壊し続け、ガザ市の40%を掌握している」と語った。

また報道官は「ガザ制圧作戦は今後数日以内に拡大・強化される予定だ」と述べた。

さらに、「我々はあらゆる場所でハマスを追跡し続ける。残る人質を解放するまで、ハマスの支配が終結するまで作戦は終わらない」と強調した。

ガザ市で飢饉が進行する中、IDFのザミール(Eyal Zamir)参謀総長は2日、「ガザ市での地上作戦を開始した」と表明していた。

イスラエルはガザ市の退避期限を10月7日に設定。それ以降に攻撃を本格化させるとみられていた。

国際社会は地上作戦による多大な犠牲と、ガザ市にとどまる推定100万人の市民の一斉避難に深刻な懸念を表明。イスラエルに自制を求めている。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、ガザ市内への空爆で少なくとも8棟の建物が全壊し、数十人が瓦礫の下敷きになったとみられる。

イスラエル政府は現在、安全のためにガザ市を離れるよう指示し、7万人が南部に向かっていると述べている。

しかし、ガザ当局者はその半分以下しか去っておらず、大半が市内で身動きが取れずにいると説明している。

ガザの保健当局は4日、131人の子供を含む370人がここ数週間の食料不足による飢饉で死亡したと発表した。

イスラエルは南部への援助を増やすなど、人道状況を改善するための措置を講じていると主張している。

イスラエルのカッツ(Israel Katz)国防相は先月末、ハマスがイスラエル側の停戦条件に応じない場合、「地獄の門が開く可能性がある」と警告した。

戦争における「地獄の門」とは極度の死や苦しみが集中する戦場や状況を象徴的に表現した言葉である。

激しい爆撃、大量の死傷者、逃げ場のない戦闘など、まさに地獄のような恐怖と絶望が広がる場所や瞬間を指す。

兵士や民間人にとって、そこは生きて帰れる保証のない、精神的にも肉体的にも極限状態の空間。この言葉は戦争の非人道性や悲惨さを強調するために用いられる。

イスラエルとハマスの交渉は先月破綻。カタール、エジプト、米国が再交渉を仲介しているが、停戦が実現する見通しは立っていない。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は4日午後の時点で7万9173人(行方不明者含む)、負傷者は16万1500人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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